矢ヶ崎さん教えてください!国際水準のGAP認証

2018年春、東京都内の個人農家として初めてグローバルGAP認証を取得した東京・西東京市の矢ヶ崎宏行氏は農業歴30年のベテラン。
取得のためにどんな準備をしたのか聞いてみた。

農業ビジネスベジVol.22(2018年夏号)より転載

写真/合田昌史

2020/12/04

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東京・西東京市・矢ヶ崎農園の矢ヶ崎宏行氏。

10ヵ月かけて整理整頓

農産物の品質に加え、農薬や土壌、水質、生産者の労働環境など、適正な生産管理体制を証明する認証基準であるGAP。いくつか種類があるが、その中でもGLOBALG.A.P(以下グローバルGAP)は、現在、世界120ヵ国以上・15万件以上の認証件数を誇る国際規格だ。

最近は輸出を目指す企業や農業生産法人が取得するケースが増えているが、個人での認証はまだ多くはない。

東京・西東京市で代々続く矢ヶ崎農園の矢ヶ崎宏行氏は、2018年3月末にルッコラ、パクチー、カブ、コマツナ、シントリナの5品目でこのグローバルGAPの認証を取得。

東京都内の個人農家では初めてで、6月にはさらに、ASIAGAP(旧JGAP Advance・以下アジアGAP)の認証も取得した。

「両方持っているのはうちぐらいでは?」と言う矢ヶ崎氏。GAPの認知度は向上しているが、取得までのプロセスや費用、取得後の維持・更新を負担に感じ二の足を踏む人が多いのもの事実。

それに果敢にチャレンジしたわけだが、そのきっかけは東京オリンピック・パラリンピック。オリンピックの農産物調達基準に「グローバルGAPやアジアGAPの認証を受けて生産されたもの」との項目がある。

取得しなければ、生産者は食材を提供するチャンスすらつかめない。農水省ではオリンピックまでグローバルGAPなどの取得費(審査費、研修費、資材費、分析費など)の一部を助成する方針を打ち出している。これを矢ヶ崎氏は「よい機会」ととらえ、認証取得を目指すことにした。

17年5月から、コンサルタントの指導(5回)を受けつつ、準備を進めた。圃場は露地も含めて30aほどで、ハウスが16棟並ぶ。

「肥料や農機の置き場、作業場の整理整頓は時間がかかったね。毎月ここまで、と決め、日々の農作業の合間に少しずつやったけど。いろいろなものを処分したので、結果、必要なものだけが残り、作業はしやすくなった。整理整頓は一度しっかりやってそれをキープすればOK。大変なのは記録のほうだね」

グローバルGAPには、200を超える生産工程管理項目や要求事項があり、それをチェック、管理・記録しなければならない。それまではなんとなく手書きのメモで済ませていたことも、パソコンを使いデータとして管理することにした。

「水を1時間に何ml入れたとか、肥料を撒いたら窒素が何㎏畑に入ったとかすべて記録・管理が必要。紙にメモしておいて、夜、パソコンに入力するようにした。だいぶ慣れたけれど、最初は大変だった」

実際の審査は審査員1名がやってきて、約1日半を要した。こうして約10ヵ月の準備期間を経て、今年5月に認証を取得した。

農薬保管庫、種苗・育苗関連の保管場所。不要な農薬はすべて処分したが「買値よりも処分費用が高かった」。農薬保管には受け皿が必要、農機を動かすガソリンの保管も受け皿を敷くなど、細かなルールがある。

農場の入口にある作業場兼事務所。右手は冷蔵保管庫。作業終了後はつねに整理整頓。使った機器はその都度きれいに拭いておく。

肥料保管場所。肥料も直置きNGで、野菜出荷用パレットの上に置いている。撒いた量、残っている量も毎日記録。ハサミやクワなども個数を把握し、安全管理の面で作業中の直置きはNG。

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