水田のカリ肥料をゼロに 農研機構が指針を策定

2021/01/19

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農研機構 カリ 減肥 水田作農研機構は、稲の収量や土壌中のカリ量を維持しつつ、水田で使用するカリ肥料を標準量の半分またはゼロに減らすための条件を明らかにし、施肥指針マニュアル「水田土壌のカリ収支を踏まえた水稲のカリ適正施用指針」にまとめ公開した。この成果は、国内の水田に広く適用できるため、水稲作の肥料コスト低減が期待できる。

カリは窒素・リン酸とならぶ植物の三大養分。日本では鉱石が産出されず全量を輸入に依存しているが、国際価格が世界的な需要拡大を背景に高値基調での推移が予想されている。

水稲作では通常、10aあたり8~11kg程度がカリの標準施肥量とされているが、これより少ない施肥や無施肥の水田でも稲が問題なく育つ場合も多いことから、カリ肥料を適正に減肥するための指針の策定が望まれていた。

農研機構は農水省の委託プロジェクト「生産コストの削減に向けた効率的かつ効果的な施肥技術の開発」で、山形、新潟、三重、宮崎、鹿児島の5県と連携し、カリ施肥量を減らした水田での稲の生育とカリ収支(水田への出入り量)を調査。

その結果、土壌の種類、稲わらの処理などが一定の条件を満たす場合は、カリ肥料を通常の半分またはゼロに減らしても稲が問題なく育ち、また水田のカリ収支がマイナスにならず維持されることを明らかにした。

この研究結果から策定された「カリ減肥の指針」の概略は以下の通り。

1. 土壌の種類が「低地土」で、一定の性質(砂質の土壌でないこと、土壌中の交換態カリが20mg/100g以上であること)を満たし、収穫後の稲わらを持ち出さずにすき込んでいる水田ではカリ肥料を標準量の半分に減らせる。

2. 上記に該当する水田で、牛糞堆肥が10aあたり1t以上入れられていれば、その年のカリ肥料はゼロにできる。

この指針はカリ肥料を極限まで減らすことを目指したものではなく、カリ欠乏による生育不良の問題を起こさないことを最重視して慎重に策定したもののため、水稲作で安心して広く使えるとしている。

農研機構 カリ 減肥 水田作

カリ減肥可能性判定のフローチャート。 (出典:農研機構プレスリリース)

低地土(沖積堆積物(川などが運んだ母材)からなる土壌)の水田(国内の水田240万haの7割として約170万ha)の半数近くで本指針による半量減肥が可能と推定される。
※土壌が「低地土」であるかは、農研機構がWebで公開している「イベントリー土壌図」や「e土壌図II」で判定できる。

また同指針を適用して、カリを10aあたり6kg施肥している水田で肥料を3kgと半減させた場合、2018年の肥料価格から計算すると10aあたり1,056円のコスト低減が見込めるとしている。なお、放射性セシウム対策など、カリの施用が求められる状況にある水田は同指針の適用外となる。

詳細は農研機構HPよりマニュアルをダウンロードして確認すること。ダウンロードはこちら

農研機構 水田土壌のカリ収支を踏まえた水稲のカリ適正施用指針 ~低地土の水田に広く適用できるカリ減肥の指針~(マニュアル)
農研機構プレスリリース
農研機構
参照:農研機構「デジタル土壌図」に新機能と新データベースが追加