タマネギの直播栽培を効率化する作業機を開発

2021/07/26

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農研機構は、タマネギを直播栽培で効率的・安定的に生産するために、畝立て、直下施肥、溝底播種および農薬(粒状)散布が同時にできる作業機を開発した。農研機構とJA全農でタマネギの直播栽培の共同研究を行い、この作業機を使用することで大幅な省力化と生産コストの削減をしながら出芽・生育を安定させ、一般的な移植栽培と同等以上の収量結果を得ることができた。同作業機は7月よりクボタから販売を開始した。

農研機構 JA全農 クボタ タマネギの直播栽培 たまねぎ直播機 

開発した「たまねぎ直播機」。(出典:クボタ)

同作業機は、トラクタに装着して使用するもので、畑を耕運して畝を立て、畝の上に小さな溝を4本作り、その溝底に直下施肥と肥料の直上2cm程度のところに播種、さらに農薬(粒状)散布が同時に行うことができる。

直播栽培は、天候の影響を受けやすく出芽や生育が不安定となるが、農研機構では、タマネギの生育を促進する技術として、リン酸を種子の直下に施肥するリン酸直下施肥技術、出芽や生育を良くする技術として、溝の底に播種する溝底播種技術を開発してきた。しかし、これらの技術を組み合わせて使う作業機はなく、そこで今回の作業機を開発するに至った。同作業機により、タマネギの直播栽培で作業の効率化・省力化を図り、かつ安定的な生産ができるようになる。

農研機構 JA全農 クボタ タマネギの直播栽培 たまねぎ直播機 

タマネギ直播栽培に対する畝立て+溝底播種を行うと、播種後に降雨がない(少ない)日が続く場合は、出芽率や初期生育が平畝と比較して良くなる。(出典:農研機構)

同作業機を使って直播タマネギの秋まき作型でJA全農西日本営農技術センター(広島県東広島市)および農研機構九州沖縄農業研究センター都城拠点(宮崎県都城市)の各試験圃場で試験を行った結果、3年間の播種後11日目の平均出芽率は10%向上し、初期生育も良くなり、3年間の換算収量は平均6トン/10a以上だった。歩行型全自動移植機を導入した移植体系と比較して、育苗作業がなくなり労働時間は24%削減できると試算している。

国産タマネギの単価は82円/kgで輸入は47.6円/kgと比較して高く、国産タマネギのシェアを増やすためには、単価を下げる必要がある。タマネギ栽培は、ほとんどが移植栽培で行われ、育苗期間が長く、育苗本数も24000本/10a程度と多い。このために、多くの労働時間と資材等が必要で、生産費を高くする要因になっている。北海道では生産費を下げるために、育苗を必要としない直播栽培に取り組んでいるが、東北地方以南では普及は進んでいないのが現状。農研機構が開発した技術と同作業機により、本州以南でタマネギ直播栽培が広がり、規模を拡大し、かつ低コスト化を進めることで、業務加工用でも国産タマネギのシェアを増加することが期待される。

導入が期待できる地域は今までタマネギを栽培していなかった地域。ほ場でリン酸が少なくても直下施肥で補うことができるため、とくに水田での転換作物として期待できるという。農研機構はタマネギ以外のキャベツなど露地野菜でもこの作業機での栽培を検討する方針だ。

この共同研究をもとに農研機構は作業機の改良を進め、農薬散布部はオプションとしてクボタより7月に発売を開始。メーカー希望小売価格は税込158万円~179万円(税込)。この作業機を直進アシストトラクタなどのスマート農機と組み合わせることで、移植栽培では難しかった露地野菜におけるスマート農業化の加速も見込まれる。

【作業機概要】
名称:たまねぎ直播機
構成部品:成形機、播種機、施肥機、クボタ逆転ロータリ 、フローティング装置を組み合わせて使用
※オプションで薬剤散布装置を取り付け可能
販売開始:7月
価格:158万円~179万円(税込)
問い合わせ:クボタ アグリソリューション推進部☎06-6648-3809

農研機構・プレスリリース
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