イネ稲こうじ病の防除技術標準作業手順書を公開

2021/07/01

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農研機構は、これまで防除が難しかったイネ稲こうじ病に対し、転炉スラグ系資材や生石灰による土壌改良と、「1km-メッシュ農業気象データ版薬剤散布適期連絡システム」による適期防除の支援方法を組み合わせた防除技術を開発し、標準作業手順書を6月29日に公開した。これによりイネ稲こうじ病を適切に防除することができる。

農研機構 イネ稲こうじ病の防除技術標準作業手順書 土壌処理資材 薬剤散布適期連絡システム

標準作業手順書の表紙。(出典:農研機構)

イネ稲こうじ病は、穂に黒い病粒を形成する水稲の病害。同病は、病粒に含まれる多量の厚壁胞子が土壌に落下し伝染源となり、翌年に本菌がイネ苗の根から侵入して収穫期近くの穂に症状が現れる。土壌中の厚壁胞子は数年間にわたり生存するため、一度発生した圃場では、数年間は防除が必要となる。

近年、イネ稲こうじ病は北海道を除く全国で発生が顕著になっており、過去10年のうち5年で発生面積が10万haを超えている。同病の病粒が販売用の種籾に混入するとクレームにより生産者から返品されることがあることや、病粒片が玄米に混入すると米穀の農産物検査で規格外と判定され、色彩選別機でこれを除去する経費がかかってしまう。また、病粒が混入したサイレージを牛に給与すると、避けて食べようとしない忌避行動を示す。このように発生による被害が大きく国の指定有害動植物にも指定されている。同病の根本的な対策は圃場での同病の発生を少なくすることしかない。

同病は薬剤散布による防除が可能だが、有効な散布期間は出穂10~21日前に限られており、適切なタイミングの判断が難しいことが問題となっていた。

農研機構 イネ稲こうじ病の防除技術標準作業手順書 土壌処理資材 薬剤散布適期連絡システム

防除技術体系の基本手順。(出典:農研機構)

これらの問題を解決するため、土壌改良資材を水田土壌に混和し厚膜胞子から感染しにくい環境を構築する方法と、電子メールを利用した「1km-メッシュ農業気象データ版イネ稲こうじ病の薬剤散布適期連絡システム」による薬剤の適期散布を支援する方法を組み合わせることにより同病を適切に防除できる技術を開発。この技術を導入することで、3年以内にイネ稲こうじ病の防除が不要となることが期待される。

農研機構 イネ稲こうじ病の防除技術標準作業手順書 土壌処理資材 薬剤散布適期連絡システム

1km-メッシュ農業気象データ版イネ稲こうじ病の薬剤散布適期連絡システムのPC版画面例。(出典:農研機構)

防除技術の標準作業手順書は農研機構のウェブサイトにて公開されているので、イネ稲こうじ病に悩んでいる生産者はダウンロードしてみては。

土壌処理資材と薬剤散布適期連絡システムを基本としたイネ稲こうじ病の防除技術標準作業手順書
農研機構