最先端育苗技術でイチゴ栽培を省力化

2021/01/25

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イチゴは反収が高く、農作物の中でも比較的少ない肥料で栽培でき、ハウスでトマト、キュウリほど温める必要もなく、収益性が優れた作物。また、観光農園、契約栽培、加工など多様なビジネスモデルがあり、新規参入も少なくない。

しかし、イチゴ栽培は育苗、管理、収穫、調整などで1年間休む時期がないほど、大変な作業。なかでも育苗は、半年以上の期間がかかり他の果菜類に比べ労力負担が大きい。さらに、土壌病原菌や病害虫の対策を立てる必要がある。

そこで最近では、バイオテクノロジーを活用した茎頂培養で増殖し生産した培養苗を購入し、育苗を分業して省力化する生産者も増えつつある。

第一実業では、良品質のメリクロン苗※1を安定生産し、時期に関係なく提供できるイチゴ培養苗事業に取り組んでいる。さらには、大量生産し実取り苗で供給することで、太陽光ハウス栽培での育苗の分業化による省力栽培システムの提案を行っている。
※1 メリクロン苗:種苗培養技術の名称でmeri(meristem=分裂組織)+clone(栄養繁殖系)の合成語。分裂組織を無菌的に培養し、増殖された苗のこと。

■液体培養法で高増殖効率+良品質な苗の安定供給が可能に!

第一実業 イチゴ 培養苗 インビトロ苗 メリクロン苗 実とり苗 省力化 効率化

写真左は一般的な増殖方法の「固形培養法」、写真右は同社増殖方法の「液体培養法」で生産したインビトロ苗。固形培養が1ビン当たり約5本の苗数であるのに対し、液体培養では約125本。また6ヶ月増殖した場合の苗数は、品種間差はあるものの固形培養が約10本に対し、液体培養は約5000本。液体培養は、約500倍の増殖効率で、良品質な苗を効率よく安定的に供給できる。

同社の「液体培養法」は「えき芽培養方法」ともいわれ変異の少ない増殖法としても知られている。また茎頂部位にある生長点は、ウイルス濃度がきわめて低く病原菌にも汚染されておらず、この細胞を無菌の培養容器の中で増殖することで無病害虫苗の育成を可能にした。

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同社の閉鎖型人工光イチゴ培養苗生産工場。病害虫の侵入を徹底的に制限し、無病害虫苗生産の取り組みを行っている。順化装置と育苗棚を設置し、季節を問わず生産可能。

さらに、液体培養法で培養したインビトロ苗※2を順化させ、セルトレーに移植し、本葉3~4枚程度に育苗して販売するのだが、太陽光育苗ハウスではセルトレー苗完成まで約3ヶ月以上かかるところ、同社での閉鎖型人工育苗工場では、約1.5ヶ月に育苗期間を短縮することに成功している。これにより、無病害虫の苗を時期に関係なくイチゴ栽培植物工場に供給することを可能にした。
※2 インビトロ苗:in vitro=ガラス管(試験管)内でという意味のバイオテクノロジー用語。バイオテクノロジー技術を応用して無菌状態のガラス管内で育成した苗のこと。

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品質管理試験用太陽光ハウスで、苗の株姿や果実形質の品質確認を行っている。

 

■育苗完全分業省力栽培を提案

同社では、育苗された培養苗を実取り苗として活用し、イチゴの省力栽培システムを提案している。

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イチゴ栽培の種類と期間。同社は育苗を分業した栽培法を提案。

親株から子苗を栽培していく従来の育苗方法だと育苗に半年以上かかってしまうが、培養苗を実取り苗として活用した場合、育苗期間を大幅に短縮することができる。

これにより、作業負担の軽減、効率アップが図れるので、高齢化や後継者不足対策につながるとともに、企業などの新規参入や大規模化へも貢献できると考えている。

同社担当者によると、培養苗はランナー採取により育成した苗と比較すると生育旺盛な特性をもっているので、個々の生産者の栽培特性に応じた管理方法の開発や品種の選定などが必要不可欠とのこと。

同社では今後もクリーンな苗の供給による病害虫対策、実取り苗の供給による育苗の分業および省力化への取り組みを進めるとしている。さらに同社の培養技術ならば短期間で増殖可能なので、オリジナル品種の受託生産なども考えているそうだ。さらに、閉鎖型人工光イチゴ培養苗生産工場だけでなく、太陽光育苗ハウスでの生産なども組み入れることでコスト削減に努め、培養苗で種子繁殖性品種の種苗に匹敵する価格体系を目指し、果実品質の良い栄養繁殖性品種の安定的な培養苗供給体制の構築により日本のイチゴ産業発展に寄与したいとしている。

問い合わせ:
第一実業 ベリーズファーム

埼玉県入間郡毛呂山町旭台15
TEL/FAX:0492-77-4873
E-mail:djkberrys@djk.co.jp