環境にやさしいトマトの新規土壌還元消毒手順書、農研機構が発表

2020/11/18

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農研機構は、新規資材(糖含有珪藻土、糖蜜吸着資材)を使用した環境にやさしい土壌還元消毒技術と青枯病に対する防除技術である「高接ぎ木栽培」を組み合わせた総合防除体系を確立し、「新規土壌還元消毒を主体としたトマト地下部病害虫防除体系標準作業手順書」を発表した。手順書は農研機構HPよりダウンロードできる。

農研機構 トマト 新規土壌還元消毒

「新規土壌還元消毒を主体としたトマト地下部病害虫防除体系標準作業手順書」。
(出典:農研機構 http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/137330.html)

トマト栽培では、近年の産地化、施設化に伴う連作により、青枯病や線虫等の土壌伝染性病害虫による被害が発生し安定生産にとって大きな問題となっている。

土壌病害虫の防除対策として一般的にはクロルピクリン剤やD-D等の土壌くん蒸剤による土壌消毒が行われているが、土壌くん蒸剤は環境及び処理者への負担が大きいことや圃場の深層部に存在する青枯病菌や線虫等の病害虫に対する消毒効果が不十分なことから、新たな消毒技術の開発が求められている。

最近では、易分解性の有機物を利用した土壌還元消毒技術が開発され、環境にやさしい消毒法として普及が進んでいる。しかし、米ぬか、フスマを用いた土壌還元消毒は深層部まで消毒効果が届かないことや、糖蜜等の液体の有機物を用いた還元消毒は、深層部の消毒効果が高いものの、重労働である糖蜜の希釈作業や液肥混入器の利用等が普及の妨げとなっている。

そこで農研機構では、現地でのニーズに対応するため、青枯病菌及び線虫等を対象として、処理作業が容易で圃場の深層部まで消毒効果の高い資材の選抜を行うとともに、地域や作型に応じた処理方法や他の防除技術と組み合わせた体系化の検討を行ってきた。

その結果、可溶性の糖を多く含むアミノ酸副生物である「糖含有珪藻土」と飼料である「糖蜜吸着資材」の2つの新規資材による土壌還元消毒技術を開発するとともに、青枯病に対する防除技術である「高接ぎ木栽培」を組み合わせた総合防除体系を確立した。

本作業手順書では、新規資材の特性、処理方法、青枯病菌や線虫等に対する土壌還元消毒効果と体系防除に加え、生産者、普及指導員等から問い合わせの多い施肥や栽培管理等についても記載。

さらに土壌還元消毒の現場で利用できる「土壌還元化程度判定方法」、「農業用支柱による灌がい水の浸透具合の確認」等の実践的な項目についても掲載しており、土壌還元消毒一般においても広く活用できる内容になっている。

トマト栽培において、土壌伝染性病害虫発生で悩んでいる生産者、、作業者への身体的な影響や、周辺環境への薬剤の飛散等のリスクを減らしたい、環境にやさしい資材をと考えている生産者は一度読んでみてはいかがだろうか。

農研機構「新規土壌還元消毒を主体としたトマト地下部病害虫防除体系標準作業手順書」
農研機構