令和3年度 食料・農業・農村白書の公表 農水省 農業構造の中長期的な変化を分析

2022/05/30

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政府は5月27日の閣議で2021(令和3)年度の「食料・農業・農村白書」を決定し、公表した。今回の白書では、2020年農林業センサスの結果をふまえ、「変化(シフト)する我が国の農業構造」と題し、品目別、地域別も含めた分析をしている。
食料・農業・農村白書 農林水産省 農業政策冒頭では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響の継続に加え、ロシアのウクライナ侵略などを背景として、我が国農業においては持続可能な農業構造の実現に向けた取り組みがますます重要となっているとし、同白書を通じて我が国の⾷料・農業・農村に対する国民の関心と理解が一層深まることを期待するとしている。

特集では、基幹的農業従事者、農業経営体、農地、規模拡大、農業所得、品目構成について分析。

●基幹的農業従事者

基幹的農業従事者は2015年の175.7万人から2020年には136.3万人へと22%減少した。このうち65歳以上は70%、49歳以下の割合は11%となっている。

今回の特集では2015年と2020年の年齢層別の変化を比較。それによると69歳以下の各階層では微増しており、20~49歳層は親からの経営継承や新規参入で12.4万人から14.7万人に増加した。また、60~69歳層も2.6万人増加していた。退職後に就農する「いわゆる定年帰農による増加」と考えられるとしている。

その一方、70歳以上の層はこの5年間で大幅に減少し、それが基幹的農業従事者全体の大きな減少となった要因としている。ただ、70歳までの農業従事者は必ずしも減っていない。今後は、若年層の農業従事者の確保、定着と併せ、「農業従事者一人一人がこれまで比べてより大きな役割を担っていくことが必要になっている」とするとともに、65歳以上の割合が依然として大きいことから地域農業にとって果たす役割は「依然として大きい」と指摘している。

●農業経営体

農業経営体全体の数は減少傾向にあり、2015年の137.7万経営体から2020年では107.6万経営体となった。このうち約96%が個人経営体。

団体経営体のうち法人経営体の数は増加傾向で、品目別に団体経営体の割合を見ると、耕種部門においては、特に稲、麦類、豆類で増加傾向(作付面積)。集落営農組織の法人化が進展しているとみられる。 畜産部門は、耕種部門よりも法人化の進展が顕著で、特に採卵鶏や豚では法人経営体が約9割(飼養頭羽数)となった。

また、経営耕地面積に占める割合のうち、準主業経営体の割合がこの5年間で12%から7%に減る一方、副業的経営体は25%から27%へと増えた。副業的経営体とは、主業農家、準主業農家以外の農家で「1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいない農家」のこと。5年間で65歳以上となった層が副業的経営体に移行したとみられる。副業的経営体の割合は、近畿、中国、四国で50%を超える府県もあり、「多くの地域で65歳以上の農業従事者が地域の農業を維持する上で大きな役割を果たしている」と分析した。

また、経営耕地面積に占める主業経営体と法人経営体の割合が増加傾向で、大規模層では農業所得も大きくなっていることなどから、法人化・規模拡大の取り組みは今後とも重要としている。

●農地

農地面積は減少傾向にあり、2015年の450万haから2021年では435万haと減少した。面積の減少率は、首都圏や西日本の都府県にて大きいとしている。

●規模拡大

1経営体当たりの経営耕地面積は、借入耕地面積の増加もあり、拡大傾向。法人経営体の割合が増加している麦類、豆類の作付面積、豚、採卵鶏の飼養頭羽数は15年間で2倍以上拡大している。

●農業所得

農産物販売金額別の経営体数について、2005年から2020年までの変化を見ると、販売金額が3,000万円未満の階層では減少している一方で、3,000万円以上の階層では増加傾向で推移している。販売金額3,000万円以上の経営体数は、特に稲作や野菜作等の耕種部門で増加。

水田作では、規模が大きい層ほど土地生産性(面積当たりの付加価値額)は高い。所得向上を図るためには、大区画化や農地の集約化等とともに、経営データの活用等のスマート農業の促進等により、生産性を一層向上させることが重要と分析。

露地野菜作では、規模が大きい層ほど労働生産性(時間当たりの付加価値額)が高いが、20ha以上では低下。露地野菜作全体の経営規模の拡大のためには、20ha以上層において、さらに労働生産性が向上するよう、労働時間の短縮、業務の効率化に向けた取組が必要としている。

●品目構成

品目の変化の分析では米の割合が減少し、畜産や野菜の割合が増加傾向にあることや、畜産や野菜で若年層の割合が高くなっていることも示された。そのほか1経営体当たりの生産農業所得は、「米以外」の産出額が大きい県のほうが大きいことから、「需要の変化に応じた生産の取り組みが今後とも重要」と指摘している。

また、令和3年度における特徴的な動きとして、以下の7つのトピックスを紹介。
・新型コロナウイルス感染症による影響が継続
・みどりの食料システム戦略に基づく取組が本格始動
・農林水産物・食品の輸出額が1兆円を突破
・スマート農業・農業のデジタルトランスフォーメーション(DX) を推進
・新たな国民運動「ニッポンフードシフト」を開始
・加工食品の国産原料使用の動きが拡大
・半農半Xなど多様な農業への関わり方が展開

本文内容としては、以下の4章について分析している。

・第1章 食料の安定供給の確保
食料自給率、食料価格上昇の動向や食料安全保障の確立、食品の安全確保、動植物防疫措置等について記述。

・第2章 農業の持続的な発展
農業産出額の動向、担い手の育成・確保、主要な農畜産物の生産動向、農業生産資材(肥料、飼料、燃油等)の価格動向等について記述。

・第3章 農村の振興
田園回帰の動向、中山間地域等の特性を活かした農業経営の推進、鳥獣被害とジビエ等について記述。

・第4章 災害からの復旧・復興や防災・減災、国土強靱化等
東日本大震災からの復旧・復興状況、令和3年度に発生した自然災害による被害・対応状況等について記述。

農水省HPにて全文と概要版が公開されているので、興味のある方はご覧になってみては。

令和3年度 食料・農業・農村白書