沖縄産パインアップルのゲノム解読 かずさDNA研究所等4者  国産ブランドの育成に貢献

2022/05/20

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かずさDNA研究所、日本大学生物資源学部、沖縄県農業研究センター、農研機構は共同でパインアップル品種「ゆがふ」のゲノムを解読したと発表した。

パインアップルは、世界的には経済上最も重要な熱帯果樹のひとつ。熱帯アメリカ・ブラジル地方原産のパインアップル科の常緑多年草で、果実の形が松かさ(パイン)に似ていて、味がりんご(アップル)のようだったことからパインアップルと名付けられたとのこと。日本では1930年頃に台湾から沖縄に移住した人々により、商業栽培が始まった。缶詰加工用を中心に栽培されていたが、1990年にパイン缶詰の輸入が自由化されたのを機に生食用パインアップルが注目されるようになり、近年は沖縄県を挙げて生食用パインアップルの生産振興や加工原料の増産に向けて取り組み、生産量が拡大傾向にある。

沖縄県では生食用パインアップルの品種育成を進めた結果、現在まで7品種を育成している。初期の育成品種には、高品質、良食味など優れた特徴がある反面、果実の大きさや病害の発生などの欠点もあった。

現在は2013年に品種登録された「ゴールドバレル」、2017年に品種登録された「沖農P17(商標名サンドルチェ)」などを主軸にブランド化を図っているが、今後さらなる優良品種の育成が期待されている。

そのため研究グループでは、ゲノム情報をもとに育種の高度化を図ろうとパインアップルのゲノム解読を行い、併せて主要な農業形質に関連する遺伝子の解析に取り組んだ。

かずさDNA研究所 日本大学生物資源学部 沖縄県農業研究センター 農研機構 パインアップル ゲノム解読 育種

今回ゲノムが解読されたパインアップル「ゆがふ」。(出典:かずさDNA研究所プレスリリース)

ゲノム解読の対象としたのは、沖縄県で育種研究に多く用いられている品種「ゆがふ」。「ゆがふ」は、世界で最も多く栽培されているスムースカイエン種に由来し、葉にとげがないことや、果肉が白いことが特徴で育種素材として頻繁に利用されている。

研究チームは「ゆがふ」のゲノムを解読し、25本の染色体に対応したゲノムDNA配列を明らかにした。「ゆがふ」の母親(種子親)である「クリームパイン」から遺伝した約4億6000万塩基対の配列と、父親(花粉親)である「HI101」から遺伝した約4億4000 万塩基対、合わせて約9億塩基対のDNA配列を明らかにした。

かずさDNA研究所 日本大学生物資源学部 沖縄県農業研究センター 農研機構 パインアップル ゲノム解読 育種

パインアップル果実、および、果肉。左:ゆがふ(白色)、 右:ボゴール(淡黄色)。(出典:かずさDNA研究所プレスリリース)

そのゲノム情報を利用し、農業形質に関与する重要な遺伝子である、葉のとげの有無を決定する遺伝子(第23染色体)と果肉色を決定する遺伝子(第8染色体)を特定。また、葉のとげの有無と果肉色を判別するDNAマーカーを開発した。

かずさDNA研究所 日本大学生物資源学部 沖縄県農業研究センター 農研機構 パインアップル ゲノム解読 育種

解読したパインアップルゲノムから特定した葉のとげ・果肉遺伝子の位置。(出典:かずさDNA研究所プレスリリース)

獲得したDNA配列情報は正確な品種識別に利用できるため、育成品種の権利保護が可能になる。また、「MD-2」など海外の主力品種とゲノム情報を比較し、遺伝的多様性を明らかにすることで戦略的な育種もできるようになるという。

また、果肉色を決定する遺伝子を特定したことから、これを活用し市場性の高い濃い黄色のパイアップル品種を育成することができれば、ジュースやドライフルーツなど新しい加工食品の開発も可能となる。

研究グループは、このゲノム情報や特定された遺伝子情報を活用することにより、国産ブランド品種の育種効率が飛躍的に向上し、マーカー育種など次世代の育種技術に発展することが期待されるとしている。

なお、研究成果は4月30日に国際学術雑誌「The Plant Journal」に掲載された。

かずさDNA研究所