ワイン用ブドウの新品種「大阪R N-1」品種登録 アントシアニンが豊富で果肉まで着色
2022/05/26
大阪府立環境農林水産総合研究所(以下環農水研)は、3月28日付で醸造用ブドウの新品種「大阪R N-1」が品種登録されたことを発表した。
環農水研では、大阪のブドウを核とした産業振興のため、西日本の公設試験場では唯一のブドウとワイン専門研究拠点である「ぶどう・ワインラボ」を2018年3月に稼働させ、大阪オリジナルのブドウ新品種の育成やブドウに係る新商品・新技術の開発に取り組んでいる。その取り組みの1つが、今回品種登録された「大阪R N-1」だ。
「大阪R N-1」は、大阪府内にある仲村わいん工房が独自に交配を重ねて40年ほど前に育成したブドウだったが、品種登録に至っていなかった。
環農水研では2017年から形態学的調査・遺伝子解析を実施し、この品種が既存品種とは異なる新たなぶどう品種であることを確認した。「ぶどう・ワインラボ」で今回、ワイナリーの厚意により、大阪のブドウ・ワイン産業発展のために活用できるように、環農水研から品種登録を行った。

(出典:大阪府立環境農林水産総合研究所・プレスリリース)
「大阪R N-1」は、着色良好なブドウで、ピノ・ノワールやメルローといった一般的な赤ワイン醸造用ブドウと異なり、果皮の色が濃く果肉まで暗赤色に着色する。その上、果実のアントシアニン含量が極めて高いことが特徴だ。
高品質な赤ワインでは、しっかりとした赤い色がついていることが重要となるが、地球温暖化によって、ブドウの着色不良が生じてワインの色が薄くなることが心配されている。

(出典:大阪府立環境農林水産総合研究所・プレスリリース)
「大阪R N-1」は、メルローやピノ・ノワールといった一般的な赤ワイン醸造用ブドウよりもしっかりと赤い色がつき、温暖な気候にも強いため、非常に有望な新品種といえる。
今後、環農水研では大阪ワイナリー協会を含む「大阪ぶどうネットワーク」とともに、このブドウ品種の普及を図っていくとしている。