佐賀県の「女山大根」がGI登録取得 農林水産省

2022/07/05

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農林水産省は6月29日、佐賀県の「女山大根」(オンナヤマダイコン)が、新たにGI(地理的表示)登録を取得したことを発表した。これでGI登録産品は42都道府県の117産品、2ヵ国の3産品の計120産品が登録された(登録番号は121号となるが1産品が登録削除となっている)。佐賀県内では初のGI登録産品となる。

地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」。

同制度は、商標権と異なり、特定の名称を使用することについて、生産者に独占的・排他的権利を与えるものではなく、地域共有の知的財産として保護するものであり、不正使用があった場合には行政が取り締まる等の特徴がある。たとえば、名称を不正に使用した場合は、国が5年以下の懲役刑や500万円以下の罰金を求めるなど罰則付きの措置命令を出すなど。

GIへの登録によって、専用のマークを付けることができ、ブランドを守りやすくなる。また、一般認知度が向上したり、市場価値が向上したりと産品の価値が高まることが期待される。

GIへの登録は海外産品も対象となっており、イタリアの「プロシュット ディ パルマ」、ベトナムの「ルックガン ライチ」、「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」の3品目が現在登録されている。

■佐賀県「女山大根」 美しい赤紫色が特徴

GI登録 地理的表示保護制度 ブランド化

佐賀県の「女山大根」。(出典:農林水産省)

佐賀県としては初の登録産品となったのが「女山大根」。

「女山大根」は、佐賀県多久市の旧女山村(現多久市西多久町)を中心に江戸時代から栽培されていた在来種の赤首大根で、根の半分以上が美しい赤紫色となるのが特徴。

一般的な青首大根より大きく、成長すると4、5kgになり、大きなものは10kgキロを超える。肉質が緻密で「す」が入りにくく、青首大根より糖度が高い。特徴的な色合いとやさしい甘さや煮込んでも煮崩れしない肉質は、煮物のほか汁物や和え物など料理の具材として珍重されている。

250年以上前から栽培されていたが、大きすぎて市場の規格に合わないため、自家用としてわずかに栽培されるのみで、自家採種を繰り返していくうちに、ほかの大根と混ざり合い、在来種本来の色や形は次第に失われたこともあり、昭和初期にはミカン等への転換によって一時消滅しかけた。

しかし、ほかでは見られない在来の珍しい大根を地域の特産品として見直す機運が高まり、昭和60年代から佐賀県佐城農業振興センターや多久市が一体となり産地復興に取り組み始め、地域にわずかに残っていた種子を、佐賀県の農業試験研究センターに持ち込み、10年近くかけて交配、選抜を繰り返して本来の姿・形を復活させることに成功した。

1995年にできた町の直売所「幡船(ばんせん)の里」の目玉産品として生産振興を図り、産地復興当時は2~3名の生産者による1トンにも満たない生産であったが、令和2年現在は約30名の生産者が約10トンを生産している。

登録生産者団体:幡船の里運営協議会
生産地:佐賀県多久市西多久町
特性
アントシアニンを含む、美しい赤紫色をした赤首大根で、成長すると4~5kgになり大きいものは10kgを超えるが肉質は緻密で「す」が入りにくい。一般の青首大根に比べ糖度が高く、特徴的な色と煮崩れしにくい特徴から、煮物のほか汁物や和え物など料理の具材として珍重されている。
地域との結び付き
江戸時代から栽培されてきた在来種で、一時消滅しかけたものを、地域で10年近くをかけ復活させた。牛津川の源流が流れ、給水が容易で、玄武岩が堆積した土壌により水はけが良く、過湿を嫌う大根の生育に適する。

農林水産省「地理的表示(GI)保護制度」