AIが写真1枚でカキの内部障害判定 精度85%

2020/12/18

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岡山大学大学院環境生命科学研究科の赤木剛士准教授は、九州大学・京都大学・岐阜県農業技術センターの共同研究者とともに、カキの外見の写真1枚から裂果「へたすき」の有無を見分ける人工知能(AI)技術を開発した。

岡山大学 AI技術 柿 裂果判定

カキの果実にできた裂果「へたすき」。
(出典:岡山大学プレスリリースhttps://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id788.html)

カキの果実内における内部障害「へたすき」は、カキのへたの下部に大きな黒い裂け目が生じ、商品価値を大きく落とす。また、他の生理障害の発生源にもなる。「へたすき」を果実の外見上から判断するのは非常に難しく、選果時には作業者がへたをめくって確認しているが、これまでは熟練者の目と長年の勘だけが頼りだった。

そこで同研究チームは、収穫後のカキの写真約3,000枚の外見写真を読み込ませた後、カットして「へたすき」があった場合、傷の大きさを入力して学習させた。

検証では、このAIによる「へたすき」の予測はカキ果実の果頂部側(へたがない方)の写真1枚からも予測を行うことが可能で、85%以上という熟練者と同等もしくはそれ以上の高い精度で「へたすき」の選別に成功した。

さらに同研究チームによると、「AIがどのように判断したのか」という“選別のコツ”を知ることにも成功。AIは表皮の「色むら」のパターンを判別に生かしているとみられるとし、AIの活用によって、熟練者でも判別の難しい果実内部障害の予測だけでなく、その指標や兆候(判断のコツ)までを学ぶことが可能であることが示唆されたとしている。

岡山大学 AI技術 柿 裂果判定

深層学習によるカキ果実の内部障害予測モデルの構築。カキ果実から写真画像と内部障害の情報を付き合わせて畳み込みニューラルネットワークでの深層学習を行う。また、ネットワークの逆伝播により「深層学習モデルがどこを見て判断したのか?」という情報も可視化できる。
(出典:岡山大学プレスリリースhttps://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id788.html)

カキに限らずほとんどの果実の選別は、店頭に並ぶまでにさまざまな選果基準が設けられており、多くが人力作業によって行われている。しかし、こうした技術の開発が進めば、さまざまな果実のあらゆる病気を瞬時に検出して選別することができるようになり、選果作業の省力化、熟練者たちが他の作業に専念できるようになるだけでなく、人材不足の問題解決にも役立つことが期待される。

本AI技術の汎用性は高く、今後は岡山県特産のモモやブドウへの応用を目指す。

研究成果は日本植物生理学会が発行する国際誌電子版に掲載された。

岡山大学プレスリリース
岡山大学