航空写真からAIで特定農地区分を高精度検出

2021/09/16

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リクルートの研究開発機関アドバンスドテクノロジーラボは、信州大学農学部との共同研究「水田活用における畦畔(けいはん)管理の効率化に関する取り組み」を2020年12月より開始。今回、約半年間にわたる研究の成果と今後の見通しについて発表した。

リクルート 信州大学農学部 特定農地区分 畦畔 AI 畦畔管理の効率化

リクルート 信州大学農学部 特定農地区分 畦畔 AI 畦畔管理の効率化

赤い枠内が畦畔(けいはん)。

畦畔(けいはん)は、水稲栽培に必要な水を田んぼにためる重要な役割を果たしており、大雨時の一時的な貯留などの役割も担っている。その畦畔を維持するため、漏水を防ぐための畔塗りなどの管理とともに、畦畔の崩落を防ぎ病虫害の発生を抑えるため、定期的な草刈りの作業が必要となる。一方、傾斜地の多い中山間地域の水田では、平地と比べて畦畔斜面の面積や角度が大きく、そこでの過大な労働負荷や管理コストの負担が課題となっている。また、畦畔斜面の傾斜角度を考慮した実質的な畦畔面積を測量することは多大な時間と費用を要するため、畦畔農地情報は整備されておらず、中山間地域の水田農業の経営改善が進まない一因となっている。

リクルート 信州大学農学部 特定農地区分 畦畔 AI 畦畔管理の効率化今回の共同研究では、まず信州大学農学部が、長野県林務部作成の精密標高データを利用して地理情報システム(GIS)で畦畔ポリゴンと圃場ポリゴンを作成し、畦畔の面積や傾斜角、農地に占める畦畔の割合(畦畔率)を計測、可視化することに取り組んだ。しかし、ポリゴンを手作業で作成しており、煩雑さが問題だった。

リクルート 信州大学農学部 特定農地区分 畦畔 AI 畦畔管理の効率化この改善のためにリクルートが開発するディープラーニングなどのAI技術と画像処理技術を応用。航空写真と精密標高データを組み合わせて、水田の圃場部分の「水張領域」と「畦畔領域」を判別し、それぞれポリゴンを自動作成するAIモデルを作成した。水張領域と畦畔領域、その他の3区分を97.7%の精度で判定することに成功した。これを利用し、長野県全域の水田約5万ヘクタールおけるGIS用座標付のポリゴンデータを作成している。

この研究結果は、農業工学分野やシステム農学分野の学術学会での報告と各学会誌への論文投稿を行う予定。

今後、畦畔データの作成技術はリクルートから信州大学農学部へ移転することによって研究を継続。信州大学農学部では、作成したデータをベースに水田1枚ごとの畦畔データを作成することで、農家が所有する水田ごとの畦畔の面積・傾斜角、畦畔率の計測を可能にする。また、予測モデルの精度を上げることで、長野県以外の地域でも、同様の結果を得られる高い汎用性を目標とする。さらに、水田の畦畔を含めた全国の農地のGISオープンデータの公開を通じて、県・市町村など地域行政と連携した「農地・畦畔見える化プロジェクト」の発展を目指す。

農地面積、農家数、農業産出額が国内の4割を占める中山間地域では、若手農家や農業法人の新規参入が進まず、経営規模を拡大しようとしても、平地と比べ傾斜地が多いという条件不利性から、労働費用が多くかかり農業機械の効率化が進んでいない。その課題の1つである畦畔管理作業にかかる費用(人件費・機械費・燃料費)を「見える化」することによって、より適切な耕作管理方法や機械の導入の検討を可能にし、新規参入や経営規模の拡大につなげていくことを最終的な目標に据えている。

リクルート
信州大学農学部