氷見稲積梅・阿久津曲がりねぎなど3品がGI登録

2022/02/07

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農林水産省は2月3日、富山県氷見市の「氷見稲積梅(ヒミイナヅミウメ)」、福島県郡山市の「阿久津曲がりねぎ」と岩手県陸前高田市広田湾の「広田湾産イシカゲ貝」を、新たにGI(地理的表示)登録したと発表した。これでGI登録産品は合計で114品目(内1産品は登録削除)となった。

地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」。

ちなみに同制度は、商標権と異なり、特定の名称を使用することについて、生産者に独占的・排他的権利を与えるものではなく、地域共有の知的財産として保護するものであり、不正使用があった場合には行政が取り締まる等の特徴がある。

GIへの登録によって、専用のマークを付けることができ、ブランドを守りやすくなる。また、一般認知度が向上したり、市場価値が向上したりと産品の価値が高まることが期待される。

GIへの登録は海外産品も対象となっており、イタリアの「プロシュット ディ パルマ」、ベトナムの「ルックガン ライチ」、「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」の3品目が現在登録されている。

今回、GI登録された3産品の概要は以下の通り。

■富山県「氷見稲積梅(ヒミイナヅミウメ)」 梅は全国初の登録

富山県としては、「入善ジャンボ西瓜」、「富山干柿」に続いて3産品目の登録となった。

GI登録 地理的表示保護制度 ブランド化 伝統野菜 地域活性

「氷見稲積梅(ヒミイナヅミウメ)」。(出典:農林水産省)

「氷見稲積梅」は、1949(昭和24)年に富山県氷見市稲積地区で発見された「稲積」品種の梅。短楕円の球状で果頂部は少し尖り、大きさは中玉で18~25グラムが全体の約半分を占め、果皮色は淡緑色で毛茸が多い。主な実梅57品種の平均核重率(核重/果実重)が9.7%であるのに対し、「氷見稲積梅」の核重率は8.3%と小さく、果肉が厚くなるため、可食部の比率が高い。主な加工品である梅干しに加工した際も肉厚の梅干しとなる。また、果皮が厚いため加工処理中に裂皮しにくく、加工適性に優れている。「氷見稲積梅」は、実需者から、種子が小さく、果肉が厚く、梅干しに加工しても着色が良く仕上がり、ほどよい酸味となると評価されている。

登録生産者団体:特産氷見稲積梅生産組合、稲積梅の里振興会
生産地:富山県氷見市
特性:
短楕円の球状で果頂部は少し尖り、大きさは中玉で18~25gが全体の約半分を占め、果皮色は淡緑色で毛茸(もうじ)が多い。種子が小さく、果肉が厚いため、梅干しに加工する際も裂皮しにくく、着色良く仕上がり、ほどよい酸味となると評価されている。
地域との結び付き:
「稲積」は、1949(昭和24)年に氷見市稲積地区で発見され選抜育種された、雪深い生産地の気象条件に合う希少品種である。栽培技術向上に努め、耕作放棄地や梅ロード、梅の里公園に植栽し、剪定・防除・収穫等共同作業で管理し、栽培面積を増加した。

■福島県「阿久津曲がりねぎ」 甘い・やわらかい・風味が良いの三拍子がそろった伝統野菜

福島県としては、「南郷トマト」に続いて2産品目の登録となった。

GI登録 地理的表示保護制度 ブランド化 伝統野菜 地域活性

「阿久津曲がりねぎ」。(出典:農林水産省)

「阿久津曲がりねぎ」は、軟白部が甘く、柔らかく、旨味が強い郡山市を代表する伝統野菜。市販品からランダム抽出した他県産のネギと比べて、旨味系アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸)が約1.8倍、糖度も約1.7倍多く含まれている。この特性は、生産地で明治時代から代々自家採種されてきた在来種の「阿久津ねぎ」の種子を使い、夏場に斜めに植え替える「やとい」という作業によりもたらされる。伝統野菜として郡山市民に古くから親しまれてきた点が評価され、2008年に「郡山ブランド認証産品」の認証を受けている。また、毎年、全国のネギ産地が集ってPR販売を行う「全国ネギサミット」では、柔らかくて甘く、おいしいと消費者から好評を得ている。生産量が少ないため首都圏等の中央卸売市場にはほとんど出荷していないが、地元郡山地方総合卸売市場では、他の郡山産ネギに比べて3割ほど高値で取引されている。

登録生産者団体:阿久津曲がりねぎ保存会
生産地:福島県郡山市
特性:
軟白部が甘く、軟らかく、旨味が強い。市販品のネギと比較して、旨味系アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸)が約1.8倍、糖度も約1.7倍多く含まれている。他の郡山産ネギに比べて3割程度高値で取引されており、「全国ネギサミット」でも柔らかくて甘いと好評を得ている。2008(平成20)年に「郡山ブランド認証産品」の認証を受けた。
地域との結び付き:
昭和初期に阿久津地区で栽培されていたものが郡山市全体へと拡大し、「郡山市の農林業」で「阿久津の曲がりねぎ」として紹介されている。2005(平成17)年に「阿久津曲がりねぎ保存会」が設立され、現在まで原種の生産を継続している。

■岩手県「広田湾産イシカゲ貝」 全国初・事業化に成功した養殖エゾイシカゲ貝

岩手県としては、「前沢牛」、「岩手野田村荒海ホタテ」、「岩手木炭」、「二子さといも」、「浄法寺漆」、「甲子柿」に続く7産品目となる。

GI登録 地理的表示保護制度 ブランド化 伝統野菜 地域活性

「広田湾産イシカゲ貝」。(出典:農林水産省)

「広田湾産イシカゲ貝」は、広田湾で採苗・養殖した、弾力があり、甘みと旨味が特徴のエゾイシカゲガイ。外観は、殻表の色合いは濃い赤茶色で、形はふっくらとしており、殻の中の軟体部のほとんどを占めるクリーム色の足の部分を食べる。栄養素では、遊離アミノ酸の割合が高い。2020(令和2)年現在、エゾイシカゲガイの養殖を産業レベルで行っているのは広田湾のみで、自然環境を活かした養殖技術は、独自に研究開発された。「広田湾産イシカゲ貝」は、卸売市場関係者から、「鮮度が良く、特有の甘みがあり、希少価値が高く、都内の高級料亭や寿司店で欠かせない商品」と高く評価され、1kg2,000円を上回る高値で取引されている。

登録生産者団体:広田湾漁業協同組合
生産地:岩手県陸前高田市広田湾
特性:
殻表は濃い赤茶色で、形はふっくらとしており、クリーム色の足の部分を食す。遊離アミノ酸の割合が高く、弾力があり、甘みと旨味が特徴。鮮度が良く、特有の甘みがあり、希少価値が高く、都内の高級料亭や寿司店で欠かせない商品となっている。
地域との結び付き:
1993(平成5)年にリアス式海岸の地形を活かし、天然の稚貝の採苗、砂を入れたタライを海中に吊るして行う養殖技術が確立し、1998(平成8)年に全国で初めて、本格的な養殖生産がスタートした。漁業者を中心に関係機関が連携し、採苗から出荷まで約2年半かけて養殖し、厳しく選別したうえで出荷している。

農林水産省「地理的表示(GI)保護制度」