リンゴ果肉の褐変に関わる染色体領域を特定

2022/01/26

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農研機構と青森県産業技術センターは、大規模な遺伝解析により、リンゴ果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域を3箇所特定し、これらの領域を選抜するためのDNAマーカーを開発した。同成果により品種改良の大幅な効率化が進み、果実をカットしても褐変しないリンゴ品種の育成が加速すると期待される。

リンゴ 研究成果 品種育成 DNAマーカー 農研機構 

褐変した「ふじ」。(出典:農研機構)

「ふじ」をはじめとするほとんどのリンゴ品種は、果実をカットしたり、すりおろしたりするとすぐに茶褐色に変色(褐変)し、見た目や商品価値が損なわれてしまう。中食・給食・離乳食・デザートトッピングなどカットフルーツとしてリンゴの需要は大いにあるものの、流通させようとすると、褐変の原因となる、果肉中のポリフェノールの酸化を抑制するための処理や包装を行わなければならない。これらの手間やコストをなくすため、果実をカットしても褐変しにくい(難果肉褐変性の)リンゴ品種の開発が求められている。

褐変しにくいリンゴの品種はきわめて少なく、世界では「あおり27」と「Eden」の2種類だけが知られている。だが、あおり27は流通期間が短い(普通冷蔵で2カ月程度)という課題があり、Edenは海外品種のため現時点では国内での流通が難しい。また、これらの遺伝情報はわかっていない。

そこで農研機構と青森県産業技術センターは、褐変しにくい品種を効率的に育成するために、ゲノム解析技術を活用した大規模な遺伝解析を行い、褐変に関連する染色体領域の特定を行うことにした。

リンゴ 研究成果 品種育成 DNAマーカー 農研機構 

リンゴ果肉の褐変指数(すりおろし24時間後、0:無~5:甚)。
(出典:農研機構)

あおり27や「シナノゴールド」といった28品種を親とする24通りの組み合せの交配により育成した468個体のリンゴ樹から果実を収穫し、カットよりも厳しい酸化条件である「すりおろし」を行い、24時間後の褐変の状態を6段階で評価。同時に、リンゴの全染色体領域にわたる1万箇所について遺伝解析を行い、果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域を3箇所特定した。また、これら3箇所の領域を選抜するためのDNAマーカーを開発した。同マーカーを用い、既存品種と検証用の育種集団で比較したところ、3つの染色体領域の遺伝子型から予測される果肉の褐変しやすさは、実際の褐変しやすさと一致した。

開発したDNAマーカーを利用すれば、幼苗の段階で褐変しにくい個体の選抜が可能となるため、品種改良の大幅な効率化が進む。同成果により、褐変しにくいリンゴの品種育成が加速し、新たな需要創出に繋がると期待される。

農研機構・プレスリリース
農研機構