小規模酪農家向け「乾式」バイオガスプラント開発

2020/12/08

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国内で初めて小規模酪農家にも導入しやすい乾式のメタン発酵プラントが開発された。

これはエア・ウォーター北海道、北土開発、帯広畜産大学との共同事業(※NEDO助成事業「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業「フェーズD(大規模実証研究開発)」/小規模酪農家向けエネルギー自給型乾式メタン発酵システムの開発」)によるもの。

乳牛飼養頭数100頭規模の小規模酪農家に向けたエネルギー自給型のバイオガスプラントで、1日あたり6.2トンの糞尿を処理することが可能だ。

北海道では現在、酪農向けに約100基のバイオガスプラントが稼働している。その多くは原料に液状の糞尿を使う湿式メタン発酵プラントとされ、半固体状の糞尿を希釈する高額な大型設備を設置して機械への絡みつきや配管閉塞を避ける必要がある。このため、バイオガスプラントの導入は、乳牛など100頭以上を飼養し資金力のある大規模・中規模農家に限られている。

一方で、北海道の酪農家の約75%を占める100頭未満の小規模酪農家は、一般的に乳牛を「つなぎ飼い」にしている関係から、メタン発酵に適さない、麦わら等の長い繊維が混合した半固形状の糞尿が排出される。これら半固形状の糞尿をメタン発酵させるには高額の大型設備が必要となり、導入のハードルが高かった。

この課題を解決するために新たに開発されたのが、半固形状の糞尿を加水せずに処理できる「乾式メタン発酵システム」だ。

NEDO エア・ウォーター北海道 北土開発 帯広畜産大学 乾式バイオガスプラント

乾式メタン発酵プラントの概略。

新たに開発したバイオガスプラントは、原料に半固体状の乳牛糞尿を用い、メタンを約60%含むバイオガスを安定的、効率的に生成できる。さらに得られたバイオガスの一部を精製し、約98%以上のメタンを含む高純度メタンガスも製造できる。

プラントは、原料自動投入装置、原料前処理槽、高温乾式メタン発酵槽、固液分離装置、ガス発電機、燃料電池などで構成される。麦稈が混合した原料の投入から破砕、混合を一括処理できる技術を開発し、一切加水せず酪農家の作業負担もほとんどない原料の自動投入装置を完成した。

NEDO エア・ウォーター北海道 北土開発 帯広畜産大学 乾式バイオガスプラント

主要構成設備。

また、従来の湿式メタン発酵プラントでは機械式撹拌機を持つコンクリート製または鋼製の発酵槽を使い38度程度の中温発酵で運用するのに対し、乾式メタン発酵プラントではポンプ式撹拌機を持つFRP製の円筒横型発酵槽を採用し50度程度の高温発酵で稼働させることに成功。発酵槽の小型化・低コスト化に加えて、原料重量あたりバイオガス生成量30%増を実現。原料の破砕、撹拌能力の向上、高温発酵の採用によりメタン発酵効率を向上したことを実証した。

実証プラントでは、発生したバイオガスの多くを25kWガス発電機に供給しており、ほぼ24時間の連続稼働・発電が可能で、発電した三相200V電気や温水を牛舎に安定的に供給しているという。

今後は、蓄電池などを利用したエネルギーの最適化や再配分、長期連続運転による設備の安定性や製造コストの低減に関する検証を通じて、余剰バイオガスを精製した高純度メタンガスを燃料電池に圧送して住宅へ単相100V電気を供給する試験を実施する予定。さらに、メタン発酵の際に発生する消化液や固形残渣を代替肥料や再生敷料として活用する取り組みも進める。

エア・ウォーター北海道では、このシステムをコスト面から従来の湿式メタン発酵プラントを導入できずにいた小規模酪農家を中心に提案し、小規模酪農家が多い中山間地域に、系統電力に頼らない自給自足型のエネルギー分散型基地として普及させ、酪農家の営農コストを低減するだけでなく、地産地消型エネルギーの推進とCO2排出量の削減に寄与することを目指すとしている。

NEDO・国内初、小規模酪農家向けの乾式メタン発酵プラント(バイオガスプラント)を開発
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
エア・ウォーター北海道
北土開発
帯広畜産大学