イネもみ枯細菌病の発症を抑える微生物を発見

2021/03/05

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農研機構は3月3日、イネもみ枯細菌病の発症を抑える4種の微生物(最近)を、もみ枯細菌病に感染したイネの幼苗から発見したと発表した。

イネもみ枯細菌病は、イネもみ枯細菌病菌の感染により引き起こされるイネの重要病害で、生育途中のイネのもみに感染し枯死を引き起こす(穂枯症)。地球温暖化に伴い世界的に発生拡大が危惧されており、国内でも西日本を中心に多発し問題となっている。抵抗性品種が存在せず、現在は殺菌等で防除しているが、殺菌剤の効かない原因細菌が出現し問題となっていた。

この病害の原因細菌であるイネもみ枯細菌病菌は、生育途中のイネのもみに感染し穂枯症を引き起こすが、もみに感染しても枯死などの病徴を示さない場合があるため、一見正常な汚染種もみが生産され、日和見的に苗腐敗症を引き起こす場合があるなど、感染に気づきにくく感染の拡大を引き起こしがちで対策の難しい病原菌。このため「もみ枯細菌病の防除技術の開発」は農林水産省が公表した現場の技術課題に関するデータにおいて平成28年度から令和元年度まで連続して解決すべき課題としてあげられている。

そうしたなか農研機構では、もみ枯細菌病の抵抗性遺伝子の特定や抵抗性遺伝子を持つ抵抗性品種の作出、病原因子の同定など、効果的な防除技術の開発を進めている。また、微生物等を使用した病害虫防御技術の開発も行っており、その研究の一環として、もみ枯細菌病の発症を抑制する有用な4種の有用微生物として、シュードモナス属細菌3種とステノトロフォモナス属細菌1種を発見した。

農研機構 イネもみ枯細菌病 微生物 防除

もみ枯細菌に対する同研究で発見した有用微生物の効果
もみ枯細菌病(左)、各菌をもみに与えた後に播種し、8日後の芽生えの様子(右)。もみ枯細菌病菌のみを与えた場合は病害の発症がみられたが、同研究で発見した有用微生物を一緒に与えると生育が回復し、もみ枯細菌病の発症が抑えられた。
(出典:農研機構「イネもみ枯細菌病の発症を抑える微生物をイネから発見」http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nias/138612.html)

この細菌をもみ枯細菌病菌と同時にイネに与えると、イネの内生微生物叢が変化し、効果的にもみ枯細菌病による幼苗の枯死を抑えることに成功した。今回の研究成果から、4種の細菌が「善玉菌」として働き、イネに常在する微生物叢微のバランスを変化させることで、もみ枯細菌病の発症を抑えている推定された。

この発見により、今後、微生物農薬の開発など、決定的な防除方法のないもみ枯細菌病に対する効果的な防御技術の開発に役立つとともに、もみ枯細菌病の発症メカニズムの解明につながると期待される。

農研機構「イネもみ枯細菌病の発症を抑える微生物をイネから発見」
農研機構