カンキツ生産に役立つ簡易土壌水分計の利用手順公開

2022/03/09

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農研機構は3月7日、高品質カンキツ生産に役立つ簡易土壌水分計の利用手順を取りまとめ、「標準作業手順書」として公開した。

農研機構 カンキツ 標準作業手順書 カンキツ用簡易土壌水分計の利用方法 土壌水分

農研機構が公表した「カンキツ用簡易土壌水分計の利用方法」標準作業手順書。(出典:農研機構)

簡易土壌水分計は、ポーラスカップ(多孔質のセラミック)と透明の塩ビ管を接着したシンプルな構造の土壌水分計。塩ビ管内の水位低下量からカンキツが受けている乾燥ストレスを判定し、ストレスの高低に応じてかん水を調節する。簡易土壌水分計の具体的な利用方法を記載した本手順書に沿ってかん水管理を行うことで、糖度の高い高品質な果実の安定生産につながると期待される。

カンキツの果実糖度は土壌水分の影響を受け、適度な乾燥ストレスを与えることにより糖度が上昇し、高品質となる。しかし、乾燥ストレスを与えすぎると、果実の酸度が高まったり、樹体にダメージを与えたりするなどの問題が生じてしまう。高品質なカンキツの安定生産には、カンキツ樹に過度の乾燥ストレスを与えることなく、果実糖度が上がる適度な乾燥ストレスを与える必要がある。

そのためには、カンキツが受けている乾燥ストレスを把握し、かん水管理によって乾燥ストレスをコントロールすることが重要。そこで農研機構は、カンキツの受ける乾燥ストレスの把握に適した、低水分領域での土壌水分の測定に特化した簡易土壌水分計を開発し、この水分計の特徴や設置・修理方法を中心に成果情報やマニュアルにより紹介してきた。

このたび、これまで公表してきた内容を集約するとともに、かん水の要否判定の具体的方法(例えば温州ミカンの場合、1日当たりの水位低下量が①4cm未満の場合はかん水不要、②4~8cmの場合はこの範囲を維持するようにかん水を実施、③8cm以上の場合はかん水量を増やす、など)や改良した設置方法などを新たに追加した、「カンキツ用簡易土壌水分計の利用方法標準作業手順書」を取りまとめた。

同技術は、農研機構が開発した簡易土壌水分計の利用が前提。現在、簡易土壌水分計は農業関連機器メーカーの藤原製作所が「土壌水分目視計」の商品名で販売している。カンキツ用の完成品は1本9,500円、ポーラスカップや塩ビ管等の部品のみを販売する組み立てキットは1セット6,000円(価格は税別)。簡易土壌水分計はJA等の代理店、通販サイトで購入できる。

簡易土壌水分計は塩ビ管内の水位を生産者が目視で確認し、かん水管理に役立てる使い方を想定している。その一方で、スマート農業にも活用できるように、簡易土壌水分計の水位を自動計測し、測定値をウェブ上で公開することにより産地全体で情報を共有するシステム開発に取り組んでいるとのこと。

今回とりまとめた標準作業手順書では、乾燥ストレスの指標値をもとにしたかん水要否判定基準や改良した設置方法等を新たに追加し、これまでに確立した簡易土壌水分計の利用方法について具体的に記載。この方法に準じてかん水管理を行うことにより、高品質果実の安定生産につながることが期待される。

標準作業手順書は農研機構HPより無料でダウンロードできる。ダウンロードはこちら

農研機構プレスリリース
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