「Japan Drone 2020」イベントリポート

2020/10/01

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日本最大、国内唯一のドローンに特化した専門展示会&カンファレンス「Japan Drone 2020」(主催:(一社)日本UAS産業振興協議会、コングレ)が、9月29・30日に幕張メッセにて開催された。第5回目となる今回は、春に開催予定であっものが順延され今回の日程での開催となった。新型コロナウイルスの影響で出展団体が昨年の半分以下に減ったが104社・団体が最先端のドローン、アクセサリなどを展示した。

今回農業用ドローン関係の出展は非常に少なかったが、それが逆にすでに世に広まっている成熟したプロダクトとなったといえるのではないかと感じた。少ない中でも農業用ドローン、アクセサリの展示を行っていたブースを紹介する。

今回初参加で農業用散布ドローンのコンセプト試作機(モックアップ)を展示していたのが、ニックス。工業用のプラスチック部品の企画・開発・製造・販売などを手掛ける会社だが、9月24日にドローン事業「D-ACT」を立ち上げ、ドローン市場に参入を発表したばかりで、プロダクトの一般公開は今回が初めてとなった。

ニックスの農業用散布ドローンのコンセプト試作機。

展示されていた農業用散布ドローンは粒剤散布装置搭載モデルのモックアップであったが、コンセプトとしては、排出されるのは「水」のみの環境負荷性能が高い、燃料電池により120分の連続フライトが可能で10リットルの粒剤タンクを搭載する予定とのことで、同社のこれまでの知見を活かしたものとなる予定だ。

情報通信機器及び地理空間情報技術の輸入・販売に携わる技術系専門商社のサイバネテックは、精密農業に特化したプロダクトを提供する米国MicaSense社、米国Sentera社のマルチスペクトルカメラを展示。

(左)米国MicaSense社、米国Sentera社のマルチスペクトルカメラを展示。(右)DJIのInspire 2にMicaSense社の「Micasense RedEdge-MX DualCamera System」を取り付けた様子。カメラが2台装着されている。

MicaSense社の「10波長センサー Micasense RedEdge-MX DualCamera System」は、RedEdge-MXとRedEdge-MX Blueの2つのマルチスペクトルカメラを組み合わせて使用するもので、1度の飛行で10バンドを撮影可能。また、「5波長+熱赤外線センサー Micasense ALTUM」は、狭帯域5バンド(Blue, Green, Red, RedEdge, Near-InfraRed)+熱赤外の画像を同時撮影できる。

マルチスペクトルカメラは、可視域と近赤外域の植物からの反射光を捉え、NDVI(正規化植生指標)など指標化でき、人間の目で見るよりもより精細に農地の状態を判別したり、画像処理に適したデータを生成することができるので、精密農業にかかせないものだ。

Phantom4 Pro V2に搭載可能なDouble 4Kセンサー「Sentera AGX710」は、1回の飛行で取得する空撮画像で可視光画像ベースの2D・3D画像およびNDVIマップ作製が可能。また、ライブストリーミング動画でリアルタイムに圃場の情報を見ることも可能だ。

グローバルリングのサービスブランドSkyfarmでは、DJIのMG-1に散水ホースを装着するアタッチメント「散水ホースアタッチメントシステム」とFJ Dynamics社の「農機自動操舵システム」を展示。

「散水ホースアタッチメントシステム」は、ソーラーパネル洗浄、温室ハウス洗浄できる。空中散布用ドローンは機種により10~16リットル程度の液剤タンクを装備し、そのタンクに搭載した液剤を散布するため、 一度に散布できる液剤の量はタンク容量に依存しているが、本システムは地上の大容量タンクに繋がった散水ホースを通して液体の散布が可能となるため、これまで不可能だった大量の液剤散布(1フライトで130リットル超程度)が可能となる。

Skyfarmで展示されていたFJ Dynamics社の「農機自動操舵システム」。すでにある農機に後付けすることで自動走行が可能になる。

「農機自動操舵システム」は、すでに持ってる農機に後付けのシステムを装着することでハンドルを自動制御し、設定された経路を自動走行する。コンソール、IMU(慣性計測装置)、電動ハンドル、GNSSアンテナのセット。

テラ・ラボの災害対策を念頭に長距離飛行が可能な大型ドローン「SKY DOLPHIN」。翼長8mと巨大なドローンだ。

農業関係以外で目立ったものとしては、今回初めて大型ドローンゾーンが設けられた。テラ・ラボの災害対策を念頭に長距離飛行が可能な大型ドローン「SKY DOLPHIN」が初めて一般公開された。翼長8m、航続時間10時間、高度1万mから2万m、積載量は燃料を含めて100kg。大規模な災害の発災時に長時間滞空して情報を収集することが可能な機体だ。2023年までには試験飛行を終え、実用化を狙う。

ドローン・イノベーションセミナーに登壇したドローン・ジャパンCEOの春原久徳氏。講演テーマは「ドローンがもたらす農業のデジタルトランスフォーメーション」。

また、同時に行われたドローン・イノベーションセミナーでは、ドローン・ジャパンの春原久徳氏が登壇し「ドローンがもたらす農業のデジタルトランスフォーメーション」というテーマで講演を行った。農業リモートセンシングの変遷から現状についての紹介、そこから農業DXはどのような形になるのかを話した。ドローン・ジャパンとして取り組む農業DXは、農地のデジタルカルテ化を進めこれをベースに、ドローンによる農薬・肥料・水散布の連携、情報収集で農地データを常に最新のものとし、フィードバック。生産者は営農情報、メーカー・ベンダーは故障や災害などのダメージ調査、流通・小売業者は収穫予測、ダメージ調査などデジタル技術を活用し、自律分散的にデータをやり取りし、各主体が必要な情報を組み合わせ、分析・予測・検証というプロセスを繰り返すことで新たな価値が創造できるとした。

2025年度には、国内市場が現在のおよそ5倍の6000億円以上になる見込みのドローン産業。ドローンを農業に活用するのは、精密化・省力化・効率化につながり、日本の農業の課題解決の助けとなるのは間違いない。

Japan Drone