フキノトウの苦味成分「ペタシン」ががんを抑制

2021/09/03

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする
  • はてなブックマークでシェアする

岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科 創薬科学専攻 平島一輝 特任助教、赤尾幸博 特任教授らの研究グループは、シーシーアイなどとの共同研究で、天ぷらなどの和食に使われる日本原産植物フキノトウに多く含まれる「ペタシン」が、がんの増殖と転移を強く抑制することを発見した。

また、「ペタシン」はがん細胞の特異的なエネルギー代謝を阻害することで、正常組織への副作用を抑えつつ効果的に抗がん効果を発揮することを明らかにした。

この発見により、副作用の少ない革新的な抗がん・転移阻害薬の開発が期待される。

研究グループによると、活発に増殖・転移するがん細胞は、正常細胞と比べてより多くのエネルギー(ATP)や細胞の構成要素(核酸とタンパク)を合成する必要があるため、大量のグルコースやグルタミンなどの栄養素を取り込み代謝を行う。代謝を促すETCC1(酸化還元酵素)の働きを阻害することで、がん細胞の増殖、転移が抑制されると考えられていたが、既存の阻害剤は効き目が弱いか毒性が強いため、治療には応用できなかった。

今回の研究で、日本原産植物のフキノトウ(Petasites japonicus)に多く含まれる「ペタシン」が、既存の化合物の1700倍以上高い活性でETCC1を阻害することを発見した。

岐阜大学 フキノトウ ペタシン がんの増殖・転移を抑制 抗がん

(出典:岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科)

「ペタシン」は、フキノトウ特有の苦みの成分の一つ。同グループはヒトのがん細胞や、マウスに投与する実験を行い、「ペタシン」は従来型の阻害剤(メトホルミンやフェンホルミン)とは全く異なる化学構造を持ち、1700倍以上高いETCC1阻害活性と3800倍以上高い抗がん活性を持つことを明らかにした。また、は乳がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、膀胱がん、前立腺がん、悪性黒色腫、肉腫、白血病など幅広い種類のがん細胞に対して非常に強い増殖抑制効果を示すことがわかった。さらに「ペタシン」で処理されたがん細胞は増殖のみならず、浸潤・転移活性が大幅に低下することも突き止めた。また、このような顕著な抗がん効果にもかかわらず、「ペタシン」は明らかな副作用を示さなかった。

ただし、フキノトウを直接食べても効果を得られる可能性は低いとしているので注意。また、フキノトウには発がん性のある成分「フキノトキシン」が含まれているが、水にさらしたり、茹でたりしてアクを抜く処理をすれば、フキノトキシンはほとんど外に出るので食べすぎなければ心配はいらない。

今後、「ペタシン」は人工的に大量合成できるため、「ペタシン」を基礎とした新しい抗がん・転移阻害薬の開発が期待される。また、安全性が比較的高いことから、「ペタシン」および「ペタシン」を含む植物抽出物はがん予防への応用も考えらている。

なお、同研究成果は9月2日2時(日本時間)にThe Journal of Clinical Investigation 誌のオンライン版で発表された。

岐阜大学「日本原産フキノトウからがんの増殖・転移を強く抑制する物質を発見」
岐阜大学