ゲノム編集ジャガイモの栽培試験開始

2021/04/16

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農研機構 大阪大学 理化学研究所 ゲノム編集ジャガイモ

※写真はイメージです。

農研機構と大阪大学、理化学研究所の研究チームが、ゲノム編集技術を使い、食中毒の原因となるソラニンやチャコニンなどの天然毒素(ステロイドグリコアルカロイド)を大幅に減らしたジャガイモの野外栽培実験を4月下旬から始める。研究利用が目的で、文部科学省が4月5日に同チームの届け出を受理した。

ゲノム編集作物・食品の監督官庁への情報提供・届出は、2020年12月に行われたGABA高蓄積トマトに続き国内で2例目だが、今回の報告は産業利用ではなく研究利用のためのものであり、研究利用では国内初となる。

ジャガイモは、太陽に当たると芽や緑色の部分にソラニン、チャコニンなどの天然毒素「ステロイドグリコアルカロイド」(SGA:Steroidal GlycoAlkaloid)がたまる。食べると食中毒の原因となるが、加熱しても毒性が失われにくく、この部分を取り除くしか方法がなかった。このSGAの量をゲノム編集で減らしたジャガイモを、大阪大学と理化学研究所の研究グループが開発し、農研機構の野外圃場での栽培実験に向けた文部科学省への報告が行われた。

栽培実験されるゲノム編集ジャガイモは、SSR2 (Sterol Sidechain Reductase 2)と呼ばれる酵素が機能しないようになっている。SSR2はジャガイモなどナス科植物にだけにあり、植物の細胞膜などに必要なステロールの代謝経路から枝分かれして、SGAの合成を開始する働きを持っている。ゲノム編集ジャガイモでは、このSSR2を働かなくしたため、SGAの含有量を大きく減らすことができる。

野外圃場での栽培実験は、茨城県つくば市の農研機構の2aの圃場で実施。4月下旬から8月上旬までの「春作」と、8月下旬から来年1月上旬までの「秋作」の2回行う予定。実際にジャガイモを収穫し、生育、形態、収量、成分等の特性を詳しく調べる。

ゲノム編集ジャガイモと一般のジャガイモが交雑したり、他のジャガイモに交ざったりしないよう、管理を厳しくする。他の圃場とは20m以上の十分な距離を取り、ゲノム編集ジャガイモの搬出入にあたっては、漏出を防ぐ構造の容器に入れて運び、不要になった収穫物は不活化して廃棄するなど、最新の注意を払うという。

今回の実証栽培では、食品や飼料としての利用に向けた厚生労働省や農林水産省への届出はまだ行われておらず、すぐに流通段階へと進むものではないが、ゲノム編集ジャガイモは、食中毒の減少への期待や、毒素を含む芽が出にくいことから、発芽による劣化や廃棄を防ぎ、長期保存ができるなど、食品ロスの減少への貢献も期待される。

農研機構「令和3年度 ゲノム編集技術により得られたステロイドグリコアルカロイド低生産性バレイショ(ジャガイモ)の栽培実験について」
文部科学省公表先
【参照】高GABAトマトが「ゲノム編集農作物」第1号に