「あけぼの大豆」など新たに4産品をGI登録

2022/04/01

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農林水産省は3月31日、福岡県の「はかた地どり」と福島県の「川俣シャモ」、山梨県の「あけぼの大豆」、北海道の「ところピンクにんにく」が新たにGI(地理的表示)登録を取得したと発表した。これでGI登録産品は41都道府県の116産品、2ヵ国の3産品の計119産品が登録された(登録番号は120号となるが1産品が登録削除となっている)。

地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」。

ちなみに同制度は、商標権と異なり、特定の名称を使用することについて、生産者に独占的・排他的権利を与えるものではなく、地域共有の知的財産として保護するものであり、不正使用があった場合には行政が取り締まる等の特徴がある。

GIへの登録によって、専用のマークを付けることができ、ブランドを守りやすくなる。また、一般認知度が向上したり、市場価値が向上したりと産品の価値が高まることが期待される。

GIへの登録は海外産品も対象となっており、イタリアの「プロシュット ディ パルマ」、ベトナムの「ルックガン ライチ」、「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」の3品目が現在登録されている。

今回、GI登録された4産品の概要は以下の通り。

■福岡県「はかた地どり」 抜群の食べ応えと旨み

GI登録 地理的表示(GI)保護制度 ブランド化

福岡県の「はかた地どり」。(出典:農林水産省)

福岡県としては、「八女伝統本玉露」に続く2産品目の登録となったのが「はかた地どり」。

「はかた地どり」は“福岡県の郷土料理である筑前煮や水炊きをもっと美味しくしよう”という発想が原点となって福岡県農業総合試験場で誕生した、福岡県産の地鶏。

国内の在来種(昔からいる地鶏)の中で、最も美味だといわれている軍鶏(シャモ)と、旨味成分であるイノシン酸を多分に含むサザナミを祖父母に持ち、これに肉づきのよい白色プリマスロックをかけあわせたものが「はかた地どり」。 地鶏ならではの噛みごたえ、噛むほどに増す旨みに加え、肉質がきめ細やかでサクッとした歯切れのよさが特徴だ。

また、2019(令和元)年には、認知機能の低下を抑止する効果が期待されるとして、生鮮肉類では全国初の「機能性表示食品」に認められている。

登録生産者団体:福岡県はかた地どり推進協議会
生産地:福岡県
特性:
うま味成分であるイノシン酸を多く含み、食味が良いうえ、身が締まっていて、程良い弾力と歯ごたえがある。煮炊き料理などで煮崩れが起こりにくいことから、「水炊き」や「がめ煮」などの福岡県の郷土料理に良く合うものとなっている。
地域との結び付き:
生産地は古くから養鶏の歴史がある土地柄であり、「はかた地どり」は、福岡市で生まれ福岡県を代表する郷土料理の「水炊き」や「がめ煮」に適した鶏肉として開発された。1988(昭和63)年度の生産・販売時から名称には、当地域に対する代表的な呼び名である「はかた」が冠された。

■福島県「川俣シャモ」 繊細で弾力のある肉質

GI登録 地理的表示(GI)保護制度 ブランド化

福島県の「川俣シャモ」。(出典:農林水産省)

福島県としては、「南郷トマト」、「阿久津曲がりねぎ」に続く3産品目の登録となった。

「川俣シャモ」は、軍鶏(シャモ)の血統を25%以上引き継ぎ、軍鶏とレッドコーニッシュ及びロードアイランドレッドにより交配・作出した福島県伊達郡川俣町内の農場で生産される地鶏の肉、その内臓肉、かわ、がら及びなんこつを指す。

日齢により使い分ける専用配合飼料と、ストレスが少ない風通しの良い平飼い鶏舎で育てられた「川俣シャモ」は、粗脂肪含量が多く水分含量が低いことから、脂が乗って食味が良く、脂肪酸組成比ではオレイン酸の比率が高いので肉の風味が良い。

「川俣シャモ」の食味が、多くの需要者に認められた証として、出荷羽数は年々増大しているが、一般的な国産鶏肉と比較して5倍程度高値であり、他の有名地鶏とも同等の価格帯で取引されており、油脂成分を抑えた専用飼料の給餌や一般的な肉用鶏の約2倍の期間をかけ豊富な運動量をともなって飼育されていることから、臭みの少ない内臓肉や骨格がしっかりしている鶏ガラも需要者からの引き合いが強い。

この食味の特性に加え品質保証及び生産履歴の明確性等が認められ、「川俣シャモ」は2008(平成20)年1月に「福島県ブランド認証制度」における鶏肉の産品として認証を受けている。

登録生産者団体:川俣シャモ振興会
生産地:福島県伊達郡川俣町
特性:粗脂肪含量が多く、水分含量が低いことから、脂が乗って食味が良く、また、脂肪酸組成比ではオレイン酸の比率が高いため肉の風味が良い。
地域との結び付き:
川俣町は、標高およそ200m以上の高地で、夏でも阿武隈山地から吹き降ろしの風が流れ、暑さを苦手とする鶏の飼育には良好な地域。江戸時代には絹織物で財を成した機屋が娯楽として軍鶏を飼い、闘鶏を楽しんでいたため、軍鶏の飼育は町内に広く普及し、食用にも供されていた。

■山梨県「あけぼの大豆」 粒が大きく甘みが強い

GI登録 地理的表示(GI)保護制度 ブランド化

山梨県の「あけぼの大豆」。(出典:農林水産省)

「あけぼの大豆」は、山梨県としては初のGI登録産品となった。

「あけぼの大豆」は、身延町曙地区を中心に100年以上栽培されてきた、粒が大きく甘みが強い大豆。一般的な大豆と比べて2倍ほど重く、10粒で6寸(約18cm)になることから、生産地では「十六寸(とうろくすん)」と呼ばれていたほど大粒である。また、昼夜で10度近い寒暖差が甘さを育み、糖類の含有量が他品種に比べて2割多く、特に砂糖の主成分であるショ糖の含有量は他品種に比べて4割多く含み、甘味が強い。

県内でも限られた直売所や道の駅でしか手に入らない希少性や品質の高さにより、地元JAの買取価格は普通大豆の全国入札取引平均価格より約2倍から4倍ほど高値で取引される。

未成熟大豆であるえだまめも大粒で、茹でたえだまめのショ糖の含有量も多く、甘みが強い。

登録生産者団体:身延町あけぼの大豆振興協議会
生産地:山梨県南巨摩郡身延町
特性:
大粒で甘みが強く、100年以上栽培されてきた大豆。10粒で6寸になるため、「十六寸(とうろくすん)」と呼ばれていたほど大粒で、糖類含有量が他品種に比べ2割多く、特に砂糖の主成分であるショ糖含有量は他品種に比べ4割多く含み、甘味が強い。希少性や品質の高さにより、地元JAの買取価格は普通大豆の全国入札取引平均価格より約2~4倍ほど高値で取引される。
地域との結び付き:
えだまめの成熟期に当たる10月から大豆を収穫する12月頃までの10度以上の昼夜の寒暖差の大きさが、特性である甘みを生む。曙地区の生産業者は、他品種との交配を防ぐために、圃場の分離などを徹底し、何世代にもわたり種子を選抜することで、「あけぼの大豆」の粒の大きさを維持してきた。

■北海道「ところピンクにんにく」 外皮がピンク色、インパクトのある辛み

GI登録 地理的表示(GI)保護制度 ブランド化

北海道の「ところピンクにんにく」。(出典:農林水産省)

北海道としては、「夕張メロン」、「十勝川西長いも」、「今金男しゃく」、「檜山海参」、「網走湖産しじみ貝」に続く6産品目。

「ところピンクにんにく」は、北海道開拓時代から栽培されてきた北海道在来種のニンニク。醜悪した直後のニンニクが、薄い綺麗なピンク色であることから「ところピンクにんにく」と命名された。ニンニク本来の風味や香りが強く、生で食した時のピリリとした強い辛みが特徴。

全盛期は116haの作付面積であったが、外国産ニンニクの台頭や栽培コストの高騰により、「幻のにんにく」といわれるほどに作付面積が減少したが、医薬品原料として高い機能性が注目されたことや、独自の増殖体系により品質・収量が向上したことにより1994(平成6)年には栽培面積が11haにまで回復し、安定的な生産が可能となった。

一般的なホワイト種と比べ薬効成分の素と香りの原因成分となる有機イオウ化合物が豊富に含まれ、栄養価が高い。高い芳香の原因成分であるアリインは滋養強壮に、ピリリとした強い辛みの原因成分であるピルビン酸は脂肪燃焼に効果がある。さらに、殺菌・抗菌効果のあるチオスルフィネート類の含有量も約1.7倍多いことがわかっている。

登録生産者団体:常呂町農業協同組合
生産地:北海道北見市常呂町
特性:
外皮はピンク色を呈し、にんにく本来の風味や香りが強く、生で食した時のピリリとした強い辛みが特徴。薬効成分が豊富であるとして医薬品の原材料にも使われており、他産地と比べ高い評価を受けている。
地域との結び付き:
生産地は、オホーツク海沿岸に位置、冬季は流氷が接し、内陸性の気候となるため、厳しい冷え込み。また、風が強く土壌も乾燥。こうした厳しい自然による環境ストレスが「ところピンクにんにく」の品質に結びついている。

農林水産省「地理的表示(GI)保護制度」