GI登録にドラゴンフルーツ&くまもと塩トマト

2021/10/12

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農林水産省は10月7日、「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」と「くまもと塩トマト」を新たにGI(地理的表示)登録の取得を発表した。これでGI登録産品は合計で111品目(内1産品は登録削除)となった。

地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」。

ちなみに同制度は、商標権と異なり、特定の名称を使用することについて、生産者に独占的・排他的権利を与えるものではなく、地域共有の知的財産として保護するものであり、不正使用があった場合には行政が取り締まる等の特徴がある。

GIへの登録によって、専用のマークを付けることができ、ブランドを守りやすくなる。また、一般認知度が向上したり、市場価値が向上したりと産品の価値が高まることが期待される。

GIへの登録は海外産品も対象となっており、今回登録されたベトナムの「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」は、イタリアの「プロシュット ディ パルマ」、ベトナムの「ルックガン ライチ」に続き海外産品としては3例目となる。

今回、GI登録された2産品の概要は以下の通り。

■「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」

GI登録 農林水産省 ブランド化 地域特産品 名産品

(出典:農林水産省)

ベトナムとしては「ルックガン ライチ」に続き2産品目となった「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」は、ベトナムのビントゥアン省ハムタン県、ハムトゥアンナム県、ハムトゥアンバック県、バックビン県およびファンティエット市が産地。

ビントゥアン省は、降水量が少なくまた、水の排出が速い砂地土壌という、ドラゴンフルーツの原産地である南米と類似した特徴を生かしている。それとともに、「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」の生産地域では、夜間の電照栽培による開花刺激技術を、ベトナムで最初に導入することにより、一年を通した栽培を可能とした。これらのことなどが評価され、今回、GIとして登録された。

登録生産者団体:ビントゥアンドラゴンフルーツ協会
生産地:ベトナム国ビントゥアン省のハムタン県、ハムトゥアンナム県、ハムトゥアンバック県、バックビン県及びファンティエット市
特性
ベトナムの他の栽培地域のドラゴンフルーツと比較して、甘みが強く、酸味が弱いドラゴンフルーツ。ビントゥアン省に次いでドラゴンフルーツの生産量の多いロンアン省で栽培されるドラゴンフルーツと比べて、平均総糖度は約10%高く、平均総酸度は約9%低い。また、ビントゥアン ドラゴンフルーツは、ロンアン省で栽培されるドラゴンフルーツと比べて、包葉全体として平均で約7%厚く約23%硬く、特に上部の包葉は約23%長く、果皮は約7%厚い。果皮及び包葉の厚さ並びに包葉の硬さによって、長距離輸送しても鮮度や外観の保持に優れることが、流通業者から評価されている。また、東アジアの消費者からは、他産地のものより包葉全体が長く厚く、特に上部の包葉が長いので、その外観がよりドラゴン(竜)のように見え、お供え物として映えるため選ばれている。これらの特性が評価され、ビントゥアンドラゴンフルーツは、地元のビントゥアン省の市場だけでなくベトナム全土の市場で流通している。2006年にベトナムで地理的表示として登録され、2020年のEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の発行により、EUでも地理的表示として保護されている。
地域との結び付き
生産地域は、乾燥に強く、開花と生長のため長い日照時間を必要とするドラゴンフルーツの栽培適地で、年間を通して気温が高く、日照時間は長く、降水量は少ない。土壌は適度に酸性で、総カリウム含有量が比較的多いため、ドラゴンフルーツの生長にとって好適土壌となっている。ビントゥアン ドラゴンフルーツの生産地域は夜間の電照栽培による開花刺激技術をベトナムで最初に導入し、電照栽培によってビントゥアンドラゴンフルーツの栽培が一年中可能となった。

■「くまもと塩トマト」

GI登録 農林水産省 ブランド化 地域特産品 名産品

(出典:農林水産省)

熊本県としては、「くまもと県産い草」、「くまもと県産い草畳表」、「くまもとあか牛」、「菊池水田ごぼう」、「田浦銀太刀」、「八代特産晩白柚」、「八代生姜」に続く8産品目の登録となった。

産地である熊本県八代市、八代郡氷川町及び宇城市の干拓地は、“干拓地”という名の通り、不知火海を干拓した土地で、土壌塩分濃度が高い。本来、塩分濃度の高い土地は作物が正常に育つには不適切で、「塩害」という被害があるように、植物は根から十分な水を吸収することができずに枯れてしまうことがある。しかし「くまもと塩トマト」は、その環境を活かして枯れるぎりぎりの所まで水分を減らすことにより、極限まで甘さや旨みが濃縮されたフルーツトマトとなっている。

トマト栽培当初から塩トマトは生産されていたが、小玉のため規格外品として地元で消費するか、廃棄されていたが、徐々に人気が高まり市場に出回りはじめたという。

登録生産者団体:八代GIブランド推進協議会、不知火塩トマト出荷者協議会
生産地:熊本県八代市、八代郡氷川町及び宇城市の干拓地
特性
大玉品種でありながら、果実1個あたりの重量が30g~150gと小さく、糖類、遊離アミノ酸の含有量が高いトマト。糖度が8度以上あり、皮が固く、肉厚で、甘みが強く、希少性が高いため、一般の大玉トマトの3倍以上の高単価で取引されている。
地域との結び付き
塩分濃度が高い干拓地で生産され、浸透圧の違いで水分や養分の吸収が制限されることにより糖度が上がる。生産可能な圃場が限られ、さらにこまめな栽培管理が必要である。
八代地域で昭和40年代前半から、宇城地域で昭和50年代中頃から本格的にトマト栽培がスタート。当初から塩トマトは生産されていたが、小玉のため規格外品として地元で消費するか、廃棄されていた。平成3年頃から、生産者、仲買業者及び関係機関が一体となって販売戦略を立て糖度検査を行い、商品化に取り組んだ結果、食味が非常に優れ、栽培面積の極一部でのみ生産される希少性から、一般のトマトとは一線を画す高級トマトとして注目され、高単価で取引されるようになった。塩分ストレスがかかる分、よりこまめな観察や栽培管理を行うことにより、以前は売り物にならなかった規格のトマトが、現在では農家所得の向上に一役買える高級品となり、平成30年度産「くまもと塩トマト」出荷量は、八代地域で約65t、宇城地域で39tとなった。

農林水産省「地理的表示(GI)保護制度」