種子島安納いもと豊橋なんぶとうがんがGIを取得

2022/03/04

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農林水産省は3月2日、鹿児島県の「種子島安納いも」と愛知県の「豊橋なんぶとうがん」が、新たにGI(地理的表示)登録を取得したと発表した。これでGI登録産品は合計で116品目(内1産品は登録削除)となった。

地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在している。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」。

ちなみに同制度は、商標権と異なり、特定の名称を使用することについて、生産者に独占的・排他的権利を与えるものではなく、地域共有の知的財産として保護するものであり、不正使用があった場合には行政が取り締まる等の特徴がある。

GIへの登録によって、専用のマークを付けることができ、ブランドを守りやすくなる。また、一般認知度が向上したり、市場価値が向上したりと産品の価値が高まることが期待される。

GIへの登録は海外産品も対象となっており、イタリアの「プロシュット ディ パルマ」、ベトナムの「ルックガン ライチ」、「ビントゥアン ドラゴンフルーツ」の3品目が現在登録されている。

今回、GI登録された3産品の概要は以下の通り。

■鹿児島県「種子島安納いも」 ねっとりとした食感と蜜が出るほどの甘さが特徴

GI登録 地理的表示 ブランド化 品種 品目

「種子島安納いも」は、「安納紅」と「安納こがね」の2品種の総称。「安納紅」は一般的に安納いもと呼ばれているもので、皮色が褐紅色で肉食は黄色。安納在来いもの突然変異でできた「安納こがね」は、皮色は薄い黄褐色。(出典:農林水産省)

鹿児島県としては、「鹿児島の壺造り黒酢」、「桜島小みかん」、「辺塚だいだい」、「鹿児島黒牛」、「えらぶゆり」に続く6産品目の登録となった。

「種子島安納いも」は、種子島が発祥のサツマイモであり、鹿児島県農業試験場熊毛支場が行った聞き取り調査記録によれば、第二次世界大戦後スマトラ島北部のセルダンから兵士が持ち帰った芋を、昭和22年頃から西之表市の安納地区で栽培したのが始まりであると伝えられている。

糖度が高く、食味が良いことから、島内全域に生産が広まり、安納地区の名称を取って「安納いも」と呼ばれ、周囲を海に囲まれた地理的条件と、植物防疫法による特殊害虫指定の「アリモドキゾウムシ」が根絶に至った平成10年までは、島外への移動が禁止されていたことから、種子島に限った生産が行われてきた。

昭和63年に種子島島内で作られていた、おいしいサツマイモを集め、平成元年から鹿児島県農業開発総合センター熊毛支場で個体選抜を行い、平成10年に「安納紅」と「安納こがね」として品種登録し、種苗法に基づく育成者権を有していた平成25年10月まで島内でのみ生産されてきた。

現在では、関係機関による生産指導の下、生産者はさらなる土壌条件の向上、生産管理及び適正な貯蔵を実施し、「種子島安納いも」の特徴である甘くてねっとりとした食感を継続的に産出している。

登録生産者団体:一般社団法人安納いもブランド推進本部
生産地:鹿児島県西之表市、熊毛郡中種子町及び南種子町
特性:
加熱した時のねっとりとした食感と蜜がでるほどの甘さが特徴で、他の一般的な青果用さつまいもと比べ糖度が高く、澱粉含有量が低い。ねっとり系焼き芋人気の火付け役として需要が高く、他の一般的な青果用さつまいもと比較して2~5割程度高値で取引されている。
地域との結び付き:
種子島は、1698年(元禄11年)に当時の日本で最初にサツマイモの栽培が定着した地であり、「種子島安納いも」は、昭和22年頃から西之表市安納地区で栽培したのが始まりである。ほとんど霜の降りない温暖な気候であり、貯蔵時に低温障害が発生しやすいサツマイモの生育や貯蔵に適した自然条件を備えている。

■愛知県「豊橋なんぶとうがん」 着色ムラが少なく、つややかで鮮やか

GI登録 地理的表示 ブランド化 品種 品目

「豊橋なんぶとうがん」。(出典:農林水産省)

愛知県としては「八丁味噌」に続く2産品目の登録となった「豊橋なんぶとうがん」。昭和50年代後半、西瓜・メロン栽培が多いなか、旧豊橋市南部農協管内の大崎地域を中心に在来種の冬瓜が栽培されるようになり、取引先から「在来種より見栄えが良く、販売優位性の高い“琉球種”」を紹介されて生産したのが始まり。その後、生産地の風土に適した個体の選別と品種統一を図り、昭和62年、生産者25名により「南部琉球冬瓜(とうがん)同好会」が発足した。地元の気候に合うよう品種改良し、手間を掛けて高品質なトウガンに仕上げて出荷している。

「豊橋なんぶとうがん」は着色ムラが少なく、光沢のある鮮やかな外観を有する冬瓜。一般的な冬瓜は、果実表面の表・裏面で着色の状態が異なることが多いが、「豊橋なんぶとうがん」は、収穫後一時保管し、果実表面を全体的に着色させてから、磨き、選別・出荷する生産方法のため、光沢、色、形状等の品質のバラつきが少ない。また、生産者のツルの仕立てや潅水等の高い栽培技術と出荷管理により、長期出荷が可能となり、冬瓜生産量が全国2位の愛知県の中でも約6割の生産量を誇る。

登録生産者団体: 豊橋農業協同組合
生産地:愛知県豊橋市
特性:
収穫後一時保管し、着色ムラが少なく、光沢のある鮮やかな外観を有する冬瓜を長期出荷している。全国2位の生産量である愛知県の中で約6割を占め、傷が少なく、カット販売時にロスが少ない点も高く評価され、他産地と比べ1~3割程度高値で取引されている。
地域との結び付き:
温暖な気候と豊川用水による豊かな水を活かして栽培している。生育状況に合わせた目揃会を年複数回開催し、栽培技術の平準化を図り、厳しい出荷規格を徹底している。

農林水産省「地理的表示(GI)保護制度」