農水省、地球温暖化影響と適応策について公表

2021/08/31

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農林水産省は、都道府県の協力を得て、地球温暖化の影響と考えられる農業生産現場における高温障害等の影響、その適応策等について報告のあった内容を取りまとめ、「令和2年地球温暖化影響調査レポート」を公表した。

地球温暖化影響調査レポートは、「農林水産省気候変動適応計画」(平成27年8月策定、平成30年11月改訂)に基づく取組の一環として、各都道府県の協力を得て、地球温暖化の影響と考えられる農業生産現場での高温障害等の影響、その適応策等を取りまとめ、普及指導員や行政関係者の参考資料として公表している。同レポートでは、水稲をはじめ、果樹、野菜、花キ、家畜等における主な影響、各都道府県の温暖化への適応策の取組状況等を取りまとめている。「令和2年地球温暖化影響調査レポート」の調査対象期間は、令和2年1月~12月。

令和2年は気温の高い状態が続き、年平均気温は全国的にかなり高かった。全国的に暖冬で東・西日本で記録的な高温、日本海側で記録的な少雪となった。7月は「令和2年7月豪雨」など東・西日本で記録的な大雨と日照不足となった。

■被害の多い農産物の影響と適応策

農林水産省 地球温暖化 地球温暖化調査レポート

「令和2年地球温暖化影響調査レポート(概要)」より抜粋。
(出典:農林水産省)

【水稲】
水稲では、令和元年と同じく「白未熟粒の発生」の報告が最も多く、「虫害の多発」、「粒の充実不足」が続いた。令和2年は年間通して高温傾向であり、報告数の合計は過去(平成23年以降)最も多い結果となった。特に「虫害の多発」は報告の増加が目立ち、令和2年の記録的暖冬が影響したものと考えられるとの報告があった。

水稲の適応策としては、白未熟粒の抑制及び胴割粒の抑制対策として、水管理の徹底が最も多く行われている。他にも、適期移植・適期収穫、肥培管理等の栽培技術を徹底して行う対策があると報告されている。高温耐性品種は昨年と同数の29府県で作付けの報告があった。全国の主食用米作付面積に占める高温耐性品種の作付割合は毎年増加しており、令和2年においては11.2%となり、平成22年の調査開始以降初めて10%を超えた。

【果樹】
果樹では、果実肥大期以降の高温によるブドウやリンゴの着色不良・着色遅延、温州みかんの浮皮等が発生した。

対策としては、着色優良品種や、着色を気にしなくていい黄緑系品種の導入や、着果管理(摘果、被覆)が行われた。また、浮皮対策として植物成長調製剤の活用が実施されている。

【野菜】
野菜では、収穫期の高温による着果不良や、不良果が発生したほか、花芽分化期の高温による花芽分化の遅れが発生。また、病害や虫害も発生した。

対策としては、遮光資材の活用、細霧冷房の導入や、花芽分化安定・促進のための新品種導入や遮光などが実施されている。

【花キ】
花キでは、高温による開花期の前進・遅延奇形花が発生した。

対策としては、開花期安定のためのシェードの活用や電照栽培による日長操作が実施されている。

【畜産】
酪農において、高温による乳量の低下や斃死が発生した。斃死は12県から報告されている。

対策としては、暑熱対策として牛舎の送風・換気や細霧冷房の導入が実施されている。

同レポートでは、将来の気候の予測として21世紀末の日本は、20世紀末に比べ、年平均気温の上昇、海面水温の上昇、積雪・降雪の減少、激しい雨の増加、沿岸の海面水位の上昇、強い台風の割合の増加及び台風に伴う雨と風の増強等が予測されているとしている。

また、気候変動により想定される農業への影響として、以下の4品目に対して言及している。

水稲:北日本や東日本中山間部においては増収。東日本平野部から西の地域では減収
ブドウ:2031~2050年頃には、適応策を導入しなかった場合、着色不良発生地域が大きく拡大。
リンゴ:2046~2055年頃には、関東地方内陸部、本州の日本海側等にリンゴ栽培には適さない地域が広がる。一方、北海道の道北や道東に栽培適地が広がる。
温州みかん:2046~2055年頃には、より内陸部にかけて栽培適地が拡大するほか、日本海側や南東北の沿岸部まで栽培適地が広がる。一方、栽培に適さない高温の地域も広がる

農水省では、同レポートに示されている影響、適応策、事例等を参考としつつ、今後とも、適応計画に基づく取組が各都道府県で推進されることを期待するとしている。

農水省・「令和2年地球温暖化影響調査レポート」の公表について
農林水産省