ロイヤリティビジネスを見据えたブドウ品種開発へ

2021/09/06

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三井不動産グループの新規事業提案制度から生まれた社内ベンチャー企業・GREENCOLLARは、林ぶどう研究所と共同で、育種ロイヤリティビジネスを見据えた生食用ブドウの育種分野へ参入した。品種開発から生産、販売までを自社で行う垂直統合型の事業体制となり、年2回の生産・販売の結果を品種開発・品種改良に活かすことで、生産地の環境および多様化する消費者の嗜好に応じた品種の提供が可能となる。

GREENCOLLAR 林ぶどう研究所 ブドウ品種開発 ロイヤリティビジネス 生食用ブドウ

GREENCOLLARの事業領域。

優良な品種の開発は農業における競争力の源泉となる一方、日本の植物における新品種の登録出願数は年々減少傾向にあり、2017年の出願数では、中国、EU、米国に大きく水を開けられている。また、国内登録品種の中でも果樹の割合は小さく、将来的な国際競争力の低下が懸念されている。

そうした懸念の中、新たな農業知的財産戦略のもと、2020年に成立した種苗法の改正によって、日本でも育成者権の保護に関する法体系が整備された。今回の協業で、品種開発に加えて育成者権の保護と育成者への収益還元システムを構築することにより、育種ビジネスを魅力的な産業へと転換させ、国際競争力を強化する。

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GREENCOLLARが取得したニュージーランド第1号圃場。

GREENCOLLARは、ニュージーランドにおける生産用地として、ホークス・ベイ地区にニュージーランド第1号圃場(9.4ha/生産面積約8ha)を2021年4月に取得。ニュージーランドの政府による土地取得についての審査完了後、引渡しを受け、現在、日本式のぶどう棚の建設を行っている。この圃場に生産パートナーであるBUDOU-SENSHIN LIMITEDの圃場に仮植中の「バイオレットキング」の苗木約800本を移植するとともに「マスカットジパング」や「巨峰」などを植え付け、2024年3月初収穫を迎える見込み。この圃場に林ぶどう研究所との開発拠点を設け、共同で品種開発に取り組む予定だ。

GREENCOLLAR 林ぶどう研究所 ブドウ品種開発 ロイヤリティビジネス 生食用ブドウまた、ブドウ生産は繁忙期と閑散期の作業量ギャップが大きいため、従業員を大量に通年雇用することが難しく、規模拡大、高効率化、高付加価値化実現への大きなハードルの一つとなっている。そうした課題を北半球と南半球とで年2回生産を行うことにより、通年雇用の実現、生産性の向上、技術力の向上が可能となり、北半球で生食用ブドウを提供できない時期に世界中へ供給することにより、高付加価値化、高収益化が実現するとしている。GREENCOLLARでは自社の従業員だけではなく、日本の閑散期にニュージーランドで生産活動を希望する日本の農家を受け入れることで、農家の通年雇用を支援する。

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林ぶどう研究所の林氏と開発した「マスカットジパング」。

林ぶどう研究所代表取締役の林 慎悟氏は、「近年農業の現場においては、気候変動による栽培リスクの高まりや消費者の嗜好の多様化によって、ますます品種が重要になってきている。しかし、国内では知的財産としての品種の認知が遅れており、私のような個人育種家にとっては、品種開発にかかるコストを回収することが大きな課題だった。今回、GREENCOLLARと品種保護制度が確立されたニュージーランドで共同開発に取り組むことで、開発のスピードを強化すると共に、ロイヤリティビジネスに取り組むことで、持続的な開発環境を整えることが可能となる。将来的にはこの開発プラットフォームをより開かれたものにし、日本の育成者や農業者に還元していきたい」
と話す。

また、GREENCOLLAR NEW ZEALAND LIMITED Managing Directorの小泉 慎氏は「ニュージーランド第1号圃場は、世界最大級の棚式(日本式)ブドウ生産用地となる。日本の卓越した生食用ブドウの生産技術および育種技術と、ニュージーランドの先進的な農業手法を融合させることで、両国に経済的な利益をもたらしたい。さらに、本事業を通じてローカルコミュニティを支援し地域の発展に貢献することで、両国の文化の架け橋としての役割を果たしたい」と語っている。

GREENCOLLAR
林ぶどう研究所