3割以上が「継承はうまくいかなかった」と回答 畜産家の事業継承

2020/08/11

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日本の畜産を応戦するWebマガジン「どっこいしょニッポン」を運営する日本全薬工業は畜産家の事業継承に関する実態調査を行った。これにより、事業継承がスムーズにいかなかった原因が、「親子だからこそ存在する確執や感情が障壁」であることがわかった。

同調査は、3月26日~4月9日にFacebookを利用し、「どっこいしょニッポン」をフォローする18歳以上65歳以下のユーザーなど180名から回答を得た。

質問は大きく3つ。「Q1 事業継承はスムーズにいったか?(もしくは、いきそうか)」、「Q2 事業継承がうまくいかない理由は?」、「Q3 事業継承時の継承元の年齢は?」というもの。

「Q1 事業継承はスムーズにいったか?(もしくは、いきそうか)」について、65%は「スムーズにいった」と回答したが、35%は「スムーズにいかなかった」と回答した。

「Q2 事業継承がうまくいかない理由は?」を聞くと、1位「経営理念が合わない」、2位「いつまでも子供扱いをする」、3位「完全に経営権を渡さない」、4位「身内だから素直になれずぶつかる」、5位「作業者とし扱われない」という回答が得られた。

「Q3 事業継承時の継承元の年齢は?」については、65~69歳が最も多く、次いで60~64歳と一般的に定年を迎えるころが事業の譲り時と考える継承元が多いという結果が得られた。

赤裸々な告白が多数寄せられ、事業継承のリアルな実態を見ることができる。

【継承者の意見】(抜粋)
「経営にプラスになる投資よりも、自分の趣味の延長で投資をする傾向にある」(33歳/北海道・酪農)
「人手の重要性やICTの活用などの利点に理解を示さず、「自分が牛を見ていれば大丈夫」の一点張り。いざ導入してみると良さを理解するが、導入までが長い道のり」(42歳/酪農)
「鶏の飼い方等、今の世代とは全然違うのに、昔のやり方を押し通してくる」(24歳/養鶏)
「受精卵移植を導入しようと思った時に、否定された。世代の温度差を感じた」(35歳/酪農・肉牛)
「法人化への価値観の違い。雇用や6次化を見越しての検討も「見栄」の一言」(31歳/群馬県・酪農)
「親子だから家の仕事はタダでやって当たり前、自分たちが死んだら全部継承するんだから、という姿勢。自分も家族を養わなければいけないから、きちんと給料と休みが欲しい」(50歳/岩手県・肉牛)
「過去にも収入のない生活は不安だという話をしたことはあるが、話し合いはいつも続かず、それでも続けようとすると癇癪を起こす始末。親世代への継承セミナーでもやって欲しい」(50歳/宮城県・養豚)
「従業員を雇ったが、労働基準等があることを理解できず、家族と同等に、もしくはそれ以上に働くのが当然だと思っていたり、見下したりしていた。結局その従業員は辞めてしまい、少しは反省したようだが、今まで家族労働でやってきて社会を知らない両親にはなかなか雇用は難しい様子」(37歳/群馬県・酪農)

【継承元の意見】
「搾乳の仕方、金銭の感覚、継承者の責任感のなさに不安を感じる」(65歳/北海道・酪農)
「こちらに相談せずに新牛舎の計画を立てていて、計画が進んでから「何かあれば言え」と言われたが、そこまで進んでいたら口出しできない状態だった」(50歳/岩手県・酪農)
「息子のやり方昔ながらのやり方と違うのが気に食わないし、それで成功するのが尚気に食わない。さらに成功者の息子にスポットライトが当たり、全国的に有名になるのが尚尚気に食わない。ということで、そんなに気に入らないのなら退職することにしたら、やっと事業を譲る気になった」(80歳/宮崎県・養鶏)

【スムーズに継承できたという人の意見】
「足りない部分を補う関係で助かっている。体も動くし、センスも良い」(32歳/肉牛・養豚)
「お互い得意な分野を尊重しあって、その分野ごとに責任を持つことと、みんながわかるように“見える化”、経営目標の掲示が大事だと思う。第一感情で話すとうまくいかないので、家族経営協定を定めたり、第三者の目を入れて第二感情で話を進めることも大切(34歳/岩手県・酪農)

どっこいしょニッポン
日本の畜産(鶏・卵、牛、豚など)に関わる人々やその暮らし、畜産物の魅力を紹介することで、畜産への興味醸成や、関わる人々を増やし日本の畜産を盛り上げることを目的としたWEBマガジン。