NTT東と都 ローカル5G活用の遠隔農作業支援

2021/06/30

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東日本電信電話(以下NTT東日本)、NTTアグリテクノロジーと東京都は6月25日、次世代通信規格「5G」を地域限定で使える「ローカル5G」を活用した農業支援の実証実験を始めたと発表。同日、NTT東日本は「ローカル5G実証ハウス」を公開した。

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実証試験の様子。ローカル5Gと超高解像度カメラやスマートグラス、遠隔操作走行型カメラ等を活用し、ハウス内の作物の生育状況等を高解像度の映像データで研究所とリアルタイムに共有する事で、迅速かつ的確な遠隔での農作業支援を実現する。

NTT東日本とNTTアグリテクノロジーは、昨年4月に東京都農林水産振興財団とスマート農業に関する連携協定を締結しており、今回、その一環として遠隔操縦ロボットやスマートグラスを用いた遠隔営農指導の実証を本格的に始動する。2023年度の事業化を目指すとしている。

■ローカル5Gを活用しハウス内の環境データ、画像から栽培アドバイスを行う

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ローカル5G実証ハウスの外観。

実証実験では、地域を限定して高速ネットワークを使えるようにする「ローカル5G」という仕組みを活用。東京都調布市のNTTの研修施設内に設けられたローカル5G実証ハウスでは、約450㎡の圃場に大玉トマト「りんか409」を4レーン、350株をメインの作業者1名とアシスタント2名で栽培する。
※通常ならばもっと多くを栽培できる規模だが、見学路などを設けているためこの作付け規模。

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ハウス内に設置されたローカル5G基地局。

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実証ハウスに設置された4Kカメラ(左)と360度カメラ。4Kカメラはハウス内に6台設置されている。

温度や湿度、照度、CO2濃度といった環境データと、ハウス内に設置された4Kカメラや360度カメラ、作業者が装着した眼鏡型のウエアラブル端末「スマートグラス」、自律走行型のロボットで栽培中のトマトの高解像度の画像を約20キロ離れた立川市の都農林総合研究センターに送る。

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遠隔操作で動く自律走行型ロボット。カメラを搭載している。

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作業者はスマートグラスを頭に装着。遠隔地の指導員に目先の映像を送ることができる。

都農林総合研究センター(以下農総研)は送られてきた環境データ、画像データをもとに作業者に病気の予防や手入れ、収穫のタイミングなどをアドバイスできるという。アドバイスの他に自律走行型ロボットなどの遠隔操作をすることもできる。

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農総研の様子。スマートグラスからローカル5Gを経由して送られた高精細映像をリアルタイムで見ながら指導できる。

すでに昨年末からトマトの栽培を開始しており、農業未経験者でも定植から出荷まで、農総研の指導によって完遂することができた。収穫されたトマトは高品質なものとなった。今は1日5~10分程度の指導を遠隔でしてもらいながら作業しているそうだ。

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実証ハウスで栽培されている大玉トマト「りんか409」。高品質に栽培できたという。

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ハウス内の様子。

今年度は、さらにハウス内を遠隔で操縦できるドローンを活用し、生育状況を把握する取り組みを検討している。また、収集した映像データをAI等と組み合わせ、たとえば反収を増やすために必要な着果促進剤を効率的に、自動で噴霧するような取り組みも検討しているという。今後は500㎡の農場でトマト栽培を基準として約2倍にあたる25トンの収穫量を目指す。

■高齢化、人材不足への対応と生産性の高い農業の実現

国内の農業従事者が減少するなか、担い手不足が課題となっている。また、普及指導員や研究員、営農指導員の数も減少しており、農業技術、ノウハウといった技術伝承もこのままではままならない。

こうした課題を解決するためには、農業を稼げる産業にし、新規就農者を増やすこと、少ない指導員を多くの生産者でシェアできる体制を構築していかなければならない。

同実証実験では、ローカル5Gにより高精細な映像を確認でき、生産者と指導員がリアルタイムでコミュニケーションを取ることがでる。収益性を高めるために指導員が効率よく、多くの生産者にアドバイスできる環境が整うことになる。実用化にはコスト面の課題もあるが、遠隔地から指導できれば、移動時間が大幅に節約できるだけに、農総研の村上 ゆり子所長は「小規模で分散した農地の多い東京の農業に新しい可能性が広がる」と期待する。

NTT東日本は農業支援のノウハウを東京都以外の中山間地域などでも活用し、5Gの普及にもつなげたい考えだ。加藤 成晴執行役員は「担い手不足から来る農業の課題解決の一翼を担いたい」と話す。事業化にあたって、ローカル5Gの通信網を複数の農業事業者で共有するなどして、システム導入のコストを抑える見通しだ。

東京都産業労働局・リリース
東日本電信電話・リリース
NTTアグリテクノロジー・リリース