サツマイモの新品種「ゆきこまち」を育成

2022/02/01

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農研機構は、収量が高く品質も良好で、かつ冷涼地でも収量が確保できるサツマイモ新品種「ゆきこまち」を開発した。近年のサツマイモ需要増加と品不足の打開策として、これまでサツマイモの経済栽培が難しいとされた冷涼な地域での新たな産地形成に役立つことが期待される。

サツマイモ 新品種 ゆきこまち 農研機構

「ゆきこまち」の塊根(育成地:茨城県)。
(出典:農研機構)

近年の焼き芋ブームを背景に、青果用のサツマイモの国内需要は伸びており、輸出も急拡大している。しかし、サツマイモの栽培面積は病害虫の発生や生産者の高齢化もあって年々減少している。

国内の主要な産地は九州の鹿児島県、宮崎県、関東の茨城県、千葉県で、この4県で約7割を占める。サツマイモは寒さに弱い作物なので、福島県あたりが経済栽培の北限とされていた。しかし、近年は温暖化にともなう夏季の気温の上昇傾向もあり、これまでは栽培には不向きとされていた冷涼な地域において、栽培を行う動きが出てきている。一方で、冷涼な地域で栽培した場合には、これまでは品質の良いサツマイモを安定的に生産するのは困難であった。

そこで、農研機構では、従来の品種に比べて多収で、冷涼な地域でも栽培できる新品種「ゆきこまち」を開発した。同品種を導入することで、北海道のような冷涼地においても新たな産地形成が可能となり、サツマイモの生産基盤の強化につながることが期待される。また、既存産地では収量、品質ともに良好であるため、単収向上に貢献できるとしている。

「ゆきこまち」は、良食味で病害虫抵抗性に優れる「ひめあやか」を母、草姿がやや立ち型で蒸切干加工用の「関東134号」を父とする交配組合せから選抜してできた品種。品種の名前は、さらさらとした雪(ゆき)のような口どけで、上品な食感があり、日本各地に伝説を残す小野小町(おののこまち)のイメージにあやかり、冷涼地の雪国(ゆきぐに)でも美しく育ち、広域に普及することを願って名付けられた。

「ゆきこまち」の特徴は以下の通り。

・育成地(茨城県)での「ゆきこまち」の収量は、早掘栽培では「ベニアズマ」より5割程度、標準栽培では3割程度収量が多い
・既存産地である関東地域ならびに冷涼な地域である北海道でも「ベニアズマ」より収量が多い
・「ゆきこまち」の肉質は“やや粉質”で繊維質が少なく、加熱調理するときめ細かい雪のような口どけが特徴。また、「ゆきこまち」の肉色は“淡黄”で加熱調理後の黒変が少ない
・「ゆきこまち」は、つる割病および黒斑病には“やや強”、サツマイモネコブセンチュウおよび立枯病には“中”の複合病害虫抵抗性。貯蔵性にも優れる
・つるの伸長が早いため、苗が伸びすぎないよう苗床の温度等の管理に注意が必要
・現在、南九州で深刻な問題になっているサツマイモ基腐病に対する抵抗性は不明なので、既存の普及品種と同様の防除対策が必要

サツマイモ 新品種 ゆきこまち 農研機構

ゆきこまち」の焼き芋。口どけのよさが特徴のホクホク系。(出典:農研機構)

「ゆきこまち」の種苗は、農研機構との間で許諾契約を行った民間種苗会社等を通じて供給される予定だ。

農研機構・プレスリリース
農研機構