8月の収穫直後から甘いサツマイモ新品種を開発

2021/10/22

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農研機構は、8月頃からねっとり甘い焼き芋をつくれるサツマイモ新品種「あまはづき」を開発した。糖度がきわめて高く、肉質がねっとりして食味が良く、早掘り栽培でもその特長が際立つ。秋の味覚のねっとり甘い焼き芋が、ひと足はやく食卓へ届けられると期待される。

サツマイモ 新品種 農研機構 あまはづき

8月に収穫した「あまはづき」の焼き芋。黄色みが強く、ねっとり甘い焼き芋に仕上がる。(出典:農研機構)

近年のねっとりと甘い焼き芋ブームの人気を支える代表的品種・ブランドには「安納芋」、「べにはるか」などがある。また、日本の高糖度サツマイモは、品質が良く、海外からも評価が高く、輸出が急拡大しているところ。

「べにはるか」は、ねっとり系と評されるなめらかな舌触りと強い甘味が特徴であり、青果用サツマイモの主産地の関東地域を中心に全国へ普及している。しかし、収穫直後の「べにはるか」は甘味が弱く、食感も粉っぽい状態になることが問題だった。この問題を克服するために、産地では、収穫した「べにはるか」を低い温度で貯蔵しでん粉の糖化を促して食味向上を図るなどの対応を行ってきたが、早くても9月下旬の出荷となっていた。そのため、早期出荷が可能で良食味でねっとり系のサツマイモ品種の育成を求める声が高まっていた。

そこで農研機構では、多収で病害虫にも強く、おいしいサツマイモを早い時期から供給できるよう、早掘り栽培でも収穫直後からねっとり甘く、食味が優れるサツマイモ新品種の育成に取り組んだ。

■8月から収穫でき、貯蔵しなくても甘い

今回開発した「あまはづき」は、早期肥大性でごく多収の「からゆたか」を母、早掘り栽培でも多収の「谷05100‐172」を父とし、交配してできた低温糊化性でん粉を持つ品種だ。

特徴は、貯蔵しなくても、収穫直後の早い段階から糖度が高いところ。また、「あまはづき」は低温糊化性でん粉という特殊なでん粉を含んでいるため、通常のサツマイモ品種と比べて、加熱調理の過程でより低い温度からでん粉が糖へ変化し、加熱調理後の糖度が高く仕上がる。

サツマイモ 新品種 農研機構 あまはづき

収穫3日後の蒸しいも断面。写真左の「べにはるか」よりも濃い黄肉色が特徴。(出典:農研機構)

「あまはづき」は、早掘り栽培することで糖度の高さが際立ち、収穫直後の8月から、「べにはるか」と比べて肉質がねっとりとして、甘く、おいしい焼き芋を作ることができる。ただし、貯蔵性が低いため、長期の貯蔵には向かない。

また、サツマイモネコブセンチュウ抵抗性が強く、つる割病抵抗性と黒斑病抵抗性もやや強い、複合病虫害抵抗性品種となる。現在南九州で深刻な問題になっている基腐病に対する抵抗性は不明だが、既存の普及品種と同様に防除対策の徹底が必要。

名前は、一般的なサツマイモの収穫最盛期よりもかなり早い時期である8月(はづき=葉月)に収穫できることに由来しており、とても甘くておいしいことを表すため「あまはづき」と命名された。

サツマイモの流通量が少ない8月から出荷が可能ということで作期分散を図る品種として導入したり、収穫直後からねっとり甘いため、芋掘りイベントなどで活用できる。

なお、「あまはづき」は2022年春から、関東地方を中心に民間種苗会社を通じて苗が供給される予定だ。

農研機構プレスリリース
農研機構