植物に振動を与えて害虫減らす 琉球大✕森林総合研

農業ビジネスベジVol.32(2021年冬号)より転載

2021/01/28

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琉球大学と森林総合研究所の研究チームは、植物に振動を与えると、多くの化学農薬に耐性を持つ農業害虫タバココナジラミの密度を低減できることが明らかになったと発表した。

今回、研究成果を発表した琉球大学農学部博士課程の柳澤 隆平氏(鹿児島大学大学院連合農学研究科)、諏訪 竜一准教授、立田 晴記教授、森林総合研究所の高梨 琢磨主任研究員らの研究チームは、昆虫の振動に対する感受性に着目し、これまで研究を進めてきた。

琉球大学 森林総合研究所 タバココナジラミ 振動 減少

農業害虫タバココナジラミ。(写真提供/琉球大学、撮影/柳澤隆平、協力/金野俊洋)

タバココナジラミは、ほとんどの化学農薬に対して薬剤耐性を発達させ、暖かい環境では爆発的に繁殖し、さまざまな野菜、観葉植物、花キ類を加害する重要農業害虫。成虫、幼虫とも吸汁して植物から栄養を奪い、吸汁の際にさまざまな植物ウイルスを媒介し、深刻な被害をもたらす。このため、耐性を引き起こす化学農薬とは異なる新たな防除技術が求められており、同駆除法は環境負荷が少なく、化学農薬で防除が困難な害虫による被害を安全に低減する新たな技術として注目される。

振動を与えたトマトは
タバココナジラミの幼虫が40%減少!

実験では、2棟のビニールハウスにトマトを12株ずつ用意し、トマトを振動させる「加振区」とその対照区として、トマトを振動させない「無加振区」を設置。加振区では、振動を発生させる加振器を設置し、加振器から直接伸ばした樹脂製の横棒を各トマトの支柱と垂直に接続することで、植物体に振動を与えた。

琉球大学 森林総合研究所 タバココナジラミ 振動 減少

実験の配置図。加振区を横からみた図(図版提供/琉球大学)

実験開始前には、あらかじめタバココナジラミを一株あたり30匹放飼し、植物に100Hzの振動を毎日7時から18時まで、30分おきに1秒加振、9秒休止というサイクルの刺激を1分間与え、振動を与えた日から5日ごとに、各トマトの葉上に定着したタバココナジラミの成虫数と幼虫数を調べた。

琉球大学 森林総合研究所 タバココナジラミ 振動 減少

トマトの苗に小刻みに振動を与える実験の様子(写真提供/琉球大学)

その結果、加振区の成虫と幼虫の密度は、無加振区と比べ減少した。特に幼虫では、無加振区の約40%もタバココナジラミが減少していた。これにより、植物体に振動を与えることで、植物上のタバココナジラミの個体数を減少させられることが明らかになった。

研究グループは今後、加振器の改良を行い、振動の伝達方法やタイミングを工夫することで防除効果を一層高めるとともに、植物に対するプラスの効果も追究していく。また、難病害虫の物理的な防除技術を確立することで、化学農薬の利用頻度を低減すること、さらに有効な防除策が打てなかった害虫に対して利用可能であることから、持続可能な農業生産に貢献していける技術として大きな一歩となると考えている。

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