地域資源活用の循環型バリューチェーン実証結果

2022/04/27

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NTT西日本グループは、持続可能な“食と農”の実現に貢献するため、2021年6月から地域資源の堆肥化および有機肥料等を活用した循環型農作物の栽培と販売の実証を実施し、その成果を公表した。

農林水産省は、持続的な食料の安定供給と農林水産業の発展を目的に「みどりの食料システム戦略」を推進し、2050年までに日本の耕作地に占める有機農地面積を約25%(100万ha)へ拡大を図ることを目指している。

NTT西日本グループ ウエルクリエイト アサヒバイオサイクル SOFIX農業推進機構 循環型農業 循環型バリューチェーン

同実証事業において構築をめざす「有機系地域資源リサイクルによる循環社会」。

NTT西日本グループでは、そのような目標の達成に寄与するため2020年7月より、ウエルクリエイト、アサヒバイオサイクル、(一社)SOFIX農業推進機構とともに「地域資源循環の取組み」を推進してきた。今回、その取り組みの一環として、生産から消費にいたるバリューチェーンをつなぎ、地域循環型社会の実現のため、吉田農園(滋賀県長浜市)をフィールドとした地域資源の堆肥化から循環型農作物の栽培・販売における一連の実証を行った。

同実証では、琵琶湖に大量繁茂し地域課題となっている「水草」や、農業の中で発生する「もみ殻」、「米ぬか」等の地域資源を、『地域食品循環資源ソリューション』の活用により有用な堆肥生成が可能か検証を行った。また、生成された堆肥等によって、農地の地力向上が図れ、有機農法でも従来からの慣行農法と比較し遜色ない農作物の栽培が可能かについても検証した。さらに、収穫した農作物を「循環型農作物」として販売し、エシカル消費に対する動向や農家の新たな販売手法を調査した。実証期間は、地域資源の堆肥化実証は2021年6月1日~9月30日、有機肥料等を活用した農産物の栽培と販売実証は2021年10月1日~2022年2月28日。

■琵琶湖の水草等を堆肥にブロッコリーを栽培 道の駅で「循環型農作物」として販売

NTT西日本グループ ウエルクリエイト アサヒバイオサイクル SOFIX農業推進機構 循環型農業 循環型バリューチェーン

地域資源の堆肥化実証の流れ。

地域資源の堆肥化についての実証は、吉田農園に設置した食品残渣発酵分解装置「フォースターズ」(ウエルクリエイト提供)に「水草(滋賀県提供)」・「もみ殻」・「米ぬか」を投入し、合わせて堆肥化促進材「サーベリックス」(アサヒバイオサイクル提供)によって発酵温度の上昇や減量化を促進させ、堆肥を生成。また、生成した堆肥は、『SOFIX(土壌肥沃度指標、Soil Fertile Index)診断技術』※1(以下、SOFIX分析)を活用し堆肥の有用性を検証した。また、同実証における全体コーディネートや関係プレイヤーとの調整、同実証で得られる各種データ収集・分析をNTT西日本グループにて実施した。
※1 SOFIX診断技術:立命館大学で開発された土壌の肥沃度を診断する分析技術。

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「循環型農作物」としての販売イメージ。

生成した地域資源由来の堆肥と、SOFIX機構から指導を受け施肥した有機肥料を活用し、吉田農園にてブロッコリーの栽培を行った。従来からの慣行農法と比較するため、栽培区画を分け、SOFIX分析や食味分析を通じ、土壌成分や農作物の品質を評価。加えて、収穫したブロッコリーは、道の駅(浅井三姉妹の里)において「循環型農作物」として価値を付け、従来の慣行農法のブロッコリーより1~2割高い価格設定で、生産者の吉田農園が販売し、栽培~販売における各種データ収集・分析をNTT西日本グループにて実施した。

■各地域で扱いに困る有機物の資源化へ 新たな仕組みとしての活用が期待

同実証では、地域資源約37トン(水草:約35t、もみ殻・米ぬか:約2t)から、約3tの堆肥が生成され、約92%と高い減量率が確認された。また、生成された堆肥は、十分に発酵させることで成分の向上が確認でき、不足成分を他の資材で補完することで、農地に有効な堆肥として活用が期待できる。また、実証実験で生成した堆肥とSOFIXの有機肥料の活用により、土壌中の各種成分の向上が確認できた。

栽培したブロッコリーの品質は、化成肥料を活用した慣行農法と遜色ない結果が得られた。また、ブロッコリーの販売では、1~2割高い価格設定の中、従来の慣行農法で栽培されたブロッコリーと同等の販売実績を残すことができた。

同実証を通じ、「地域食品循環資源ソリューション」が食品残渣以外の「水草」や「もみ殻」・「米ぬか」等の地域資源のリサイクルにも有用に作用したことから、大量繁茂が課題となっている琵琶湖の水草をはじめ、各地域で扱いに苦慮する有機物の資源化への新たな仕組みとしての活用が期待できるとした。

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提供するバイオ炭化窯の外観。

今後の展開としては、NTT西日本グループは、同実証実験により得られたノウハウ等を活用し、地域資源や土壌・肥料成分などデータベースの構築や、生産者と消費者をつなぐ販路マッチング等の仕組みの構築を目指す。また、有機資源をバイオ炭に再生し、農地へ施用して土壌を改良するとともに炭素貯留によりカーボンネガティブ※2も実現する「地域食品資源循環ソリューション(バイオ炭化タイプ)」の展開も図り、地域資源循環による持続可能な“食と農”の実現を目指していく。
※2 カーボンネガティブ:排出量を吸収量で相殺(カーボンニュートラル)するのではなく、排出量より吸収量を多くすること。

NTT西日本・ニュースリリース
NTT西日本
ウエルクリエイト
アサヒバイオサイクル
(一社)SOFIX農業推進機構