12月1日施行の改正肥料法、改正のポイントは?

2020/12/01

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農林水産省は、土作りに役立つ堆肥や産業副産物由来肥料の活用とともに、農業者のニーズに応じた柔軟な肥料生産が進むよう、肥料制度に関する法制度の見直しを進めてきた。

これを受けて、肥料取締法が15年ぶりに改正され、「肥料取締法の一部を改正する法律」が成立し、2019年12月に公布。法律名称も「肥料取締法」から「肥料の品質の確保等に関する法律」(以下「改正肥料法」)に変更され、第1弾が12月1日から施行される。

肥料取締法とは、安全で効果的な肥料を農家が適切に使えるように設けられた法律で、1950年に成立し2003年に改正が行われている。しかし、最近の農業現場の実態に合わなくなってきたため見直しを進めてきた。

法改正の背景は、堆肥施用量の減少による地力低下への危機感がある。また世界的な肥料需給の高まりで、肥料原料の不安定感もあり、肥料原料の海外依存度を下げたいという考えもある。土壌改善と肥料の安定供給には、安価で国内調達できる未利用の家畜ふん堆肥や食品残滓などを、有効に利用する必要がある。農林水産省の統計資料によれば、水田への堆肥の投入量は、過去30年間で約4分の1にまで減少している(「農業経営統計調査」より)。農家が高齢化し、重くて扱いが面倒な家畜ふん堆肥が敬遠されているためで、コメや大豆の反収が減っている地域が出ている。これら課題を解決するために、法改正を行い、農業者のニーズにあわせた柔軟な肥料生産を行えるようにしたのだ。

改正肥料法

改正肥料法の全体像。(出典:農林水産省「肥料制度の見直しについて」https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/seidominaoshi.html#zentai)

12月1日施行の主な改正事項は次のとおり。

■肥料の配合に関する規制の見直し
・堆肥の利用拡大による土づくりの促進や施肥の省力化などの観点から、普通肥料(化学肥料など)、特殊肥料(堆肥など)、土壌改良資材を配合した肥料を新たに法律上位置づけ生産を可能とした。
・登録済の肥料同士の配合に加え、造粒などを行った肥料も届出だけで生産可能とする。
・配合肥料や特殊肥料の届出期日を生産の2週間前までから、1週間前までに変更とする。

■表示制度の見直し
肥料メーカーの原料管理制度を徹底する。2015年に肥料の偽装表示が発覚し、使用していた農家が大きな損害を被るという事件があった。そこで改正法では、肥料の原料として利用可能な産業副産物の範囲を明確にした上で、原料の虚偽表示を罰則対象とすることが盛り込まれている。

ただし、改正法の施行日より前に改正前の規定による登録または届出がされた肥料表示に関しては、当分の間、現行の表示とすることも可能とする。

■堆肥と化学肥料の混合がOK! 作業負担軽減、地力回復が期待
今回の改正により、堆肥と化学肥料を自由な割合で配合できるようになることで、これまで別々に散布しなければならなかった作業が1回に集約でき農家には大きな負担軽減になる。

また、地力回復も期待される。堆肥には窒素、リン酸、カリウムの含有量が不安定という弱点があるが、化学肥料と配合できればその点を補うことができる。成分が安定した肥料となることで地力回復につながるだろう。

肥料価格が下がることも期待できる。現在販売されている配合肥料には、菜種油かすなどの有機質肥料が用いられているが、安い堆肥と置き換えれば、肥料価格が10~30%程度下がるとみられる。

このほか、「普通肥料の公定規格の改正」「原料管理制度と帳簿の備付け」は令和3(2021)年12月1日の施行を予定している。

農林水産省「肥料制度の見直しについて」
農林水産省