「農業Week 2020」イベントレポ【スマート農業編】

2020/10/21

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国内最大級の農業見本市「農業Week 2020」(主催:リード エグジビション ジャパン)が10月14日~16日の3日間、幕張メッセにて開催された。最新のスマート農業技術・製品から、農業資材、養豚・養鶏・養牛に関する資材・設備など、農業に関するあらゆる技術、機器、サービスを提供する500社が出展。3日間で2万3175名が来場したと発表された(10月19日速報)。

今回はレポート第2弾として、スマート農業関連の注目製品・サービスを紹介する。

NTTテクノクロス、タキイ種苗、デザミス、伊藤忠飼料の共同出展ブースでは、AIが種の発芽検査を支援する「AI発芽検査」、センサーによる見守りで、酪農・畜産の現場を支援する「U-motion」、簡単に熟練者並みに豚の体重推定ができる「デジタル目勘」などが展示されていた。

「AI発芽検査」は、種の発芽率を10数秒で検査できる。NTTテクノクロスとタキイ種苗の共同開発。

「AI発芽検査」は、発芽率の検査を1画像100粒あたり十数秒で行うソフトウェア。発芽検査は、種苗法によって発芽率水準に一定以上の確保が義務付けられている。検査量は膨大で、また検査員の育成にも時間がかかり、種苗メーカーや自社品種開発メーカー、種子検査機関などは多くの課題を抱えている。そうした発芽検査を支援する目的で開発されたのが、「AI発芽検査」だという。撮影した種の画像からAIが学習データをもとに発芽状態を判定する(特許出願中)。これにより、検査員は1回当たりの判定作業を十数秒に短縮できるという。タキイ種苗で、キャベツの種を用いて行った事前の検証では、判定精度(検査員判定との一致率)98%を確認。経験が浅い検査員の判定作業では、5倍以上の効率化が見込めるという。必要な機材もデジタルカメラとパソコンのみで利用でき、低コストで導入が可能とのこと。判定後の画像は保存可能で、検査の証跡としても活用できる。現在は、アブラナ科の発芽検査の実証実験を行っているが、ノウハウを蓄積しているので、他の品目にも対応できるとしている。2020年11月からタキイ種苗に先行導入し、2021年4月の一般販売に向けて開発・改良を行う予定だ。

センサーによる見守りで、酪農・畜産の現場を支援する「U-motion」。写真右は、牛の首に装着するセンサーの実物。10月14日より肉用牛繁殖農家を対象に分娩アラートのサービスを開始した。

センサーによる見守りで、酪農・畜産の現場を支援する「U-motion」は、すでに累計契約頭数が10万頭を突破しているヒット製品。牛の首に装着したセンサーが、24時間365日休まず牛個体の行動を観察し、取得したデータはグラフで分かりやすく表示。発情、疾病、起立困難の兆候はアラートで知らせてくれる。また10月14日より、分娩検知専用のセンサータグを牛の尻尾に装着し、センサーで取得した加速度と気圧のデータから自動で分娩兆候を検知するアルゴリズムを新たに開発し、日本で初めて尻尾の動きで分娩を検知するシステムを実現し、肉用牛繁殖農家を対象に分娩アラートのサービスを開始している。

専用端末で豚の体重が推定できる「デジタル目勘」。

「デジタル目勘」は、世界で初めてソフトウェアと専用端末が一体となった豚体重推定システム。端末で豚を撮影すると推定体重が表示される。撮影した豚の特徴量とAIによって体重を推定するそうだ。実体重との誤差は4.5%以内。撮影するだけで体重が推定できるので、豚へのストレス軽減とともに、養豚農家の作業の省力化・効率化も図れる。

トヨタ自動車は、「豊作計画」「リアルタイム土壌センシング」などを展示。「豊作計画」は、「トヨタ生産方式」の考え方をベースにした「作業工程」および「コスト」を見える化したITソリューション。4月よりコメ・麦・大豆に加え、野菜・果樹・畜産など適応品目を拡大しており、熱心に説明員に話を聞く生産者の姿が目立った。

「リアルタイム土壌センシング」は、約30項目の土壌成分(窒素・リン・カリ)を推定し、マップ化する。ピンポイントで土壌改良部分を把握できるので、ムダなく土壌改良を行える。

「リアルタイム土壌センシング」は、地中10~15cmに差し込んだセンサーをトラクターでけん引(時速1~3km)しながら圃場内を移動し、約30項目の土壌成分(窒素・リン・カリ)を推定する。リアルタイムで計測した分光データ(土中に光を当て、反射する光の波長を読み取ったもの)とGPSシステムによる位置情報を用いて解析し、迅速に圃場内の土壌成分の偏りをマップ化するもの。従来の土壌診断は、分析・結果がでるまで時間がかかるが、「リアルタイム土壌センシング」では、測定したデータを迅速にマップ化するので、土づくりにすぐ着手できること、また、ムダ無く堆肥等の土壌改良剤を投入して的確な土づくりを行えるなどコスト削減、生産性向上、環境負荷を低減することができる。

二酸化炭素(CO2)の有効活用をコンセプトに技術開発を行っているテヌートでは、CO2局所施用コントローラー「ブレス」や光合成促進システム「コンダクター」「木製ブラインド型太陽光パネル蓄電ユニット付き遮光システム」(参考出品)などを展示。

光合成効率促進装置「コンダクター」。上部は、今回参考出品された「木製ブラインド型太陽光パネル蓄電ユニット付き遮光システム」。

「木製ブラインド型太陽光パネル蓄電ユニット付き遮光システム」(参考出品)は、「コンダクター」でハウス内の環境の変化に応じて自動で開閉し、温度や太陽光を調節する。ハウス全体に均一に太陽光を取り入れることができるようになるため、生育のムラを抑制することができる。また、太陽光が当たる側には、太陽光パネルを備え、蓄電できるので、施設内で使用する電気に使うことも可能だ。光合成効率促進装置「コンダクター」は、新機能を追加した。新たに灌水制御ユニット(製品名:フリーセント)によって10カ所独立して灌水管理を可能とした。

昨年度から新設された畜産資材部門で、IoTやAI技術を活用した製品やシステムの出展が多く見られた。前述の「U-motion」、「デジタル目勘」といった製品の他に、以下の製品も注目を集めていた。

牛の健康管理サービス「LIiveCare」。写真右はバイオカプセルから届くデータを表示したもの。

The Betterは、牛にバイオカプセルを投与し、体温管理・活動量・反芻行動量の分析を行える「LiveCare」を展示。バイオカプセルは、第1ルーメンに安定して定着し、継続的に体温を測定することができる。バイオカプセルは、非毒性の材料(サトウキビ100%)で安全に使用できる。体温変化をリアルタイムに検知し、また加速度センサーによる行動量・反芻活動情報を取得することによって、AIが分娩予測、発情タイミング、疾病予報を知らせてくれる。

牛体温監視システム「胃診電信」。円筒状のものが無線温度センサー。

セントラル情報サービスは、牛の体温監視システム「胃診電信」を展示。カプセルタイプの無線温度センサーを第1ルーメン内に投与し、体温を計測。体温データは、Wi-Fiで5分毎にクラウドの個体別データベースに蓄積。体温データを分析し、発情期や出産時期、健康状態などを自動判定し、異常があった場合や、分娩時期の予測などを通知してくれる。

「死亡鶏巡回検知システム」は、鶏舎を自動で巡回し、死亡鶏を発見したらメールで通知してくれる。

大豊産業は、「死亡鶏巡回検知システム」などを展示。「死亡鶏巡回検知システム」は、自動走行ロボットに実装したカメラで取得した画像をAIで判定することで、死亡鶏を自動で発見するシステム。85m×8列・4段または3段レイヤーの鶏舎を2時間40分で自動走行点検が可能とのこと。判定をメール通知するほか、ロボットの状態や死亡鶏の分布などのデータを容易に確認できる。日々の鶏舎の見回りは重労働だが、本システムを導入することで見回りのための巡回が不要となり作業の省力化が図れる。

次回、最後のリポートでは、農耕具・資材などの注目製品を紹介する。

農業Week 2020