奥村組、夏秋向けイチゴの栽培・販売に参入

2021/05/11

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奥村組 農業参入 イチゴ栽培 夏秋イチゴ なつあかり 信大BS8-9

ハウス内定植状況。

大手ゼネコンの奥村組は、新規事業開拓の一環として、夏秋イチゴの栽培・出荷・販売事業に参入した。小諸倉庫と共同出資会社「株式会社軽井沢いちご工房」を設立。栽培に適した冷涼な長野県軽井沢町に農場用地を確保し、7月上旬に出荷を始める。

イチゴは暑さに弱く、冬春期に収穫・出荷が集中するため、夏秋期には出荷量が極端に少なくなる。一方で洋菓子店などの業務用を中心に年間を通して需要があるため、夏秋期は輸入品や冷凍イチゴなどが主に流通している。

同社は、近年、国産農産品の需要が高まっていること、また夏秋イチゴの品種改良が進んでいることに着目し、出荷量が少なくなる夏秋期に、冬春イチゴと遜色ない高品質なイチゴを安定的に供給することを目指して同事業に取り組むことにした。

奥村組 農業参入 イチゴ栽培 夏秋イチゴ なつあかり 信大BS8-9

ハウス全景。

夏秋イチゴの栽培に適した冷涼な高地である長野県軽井沢町内の耕作放棄地を約1.2ha賃借し、2020年5月施設整備に着手し、7.2m×46mの農業用ビニールハウス4棟、高設ベンチ(1棟当たり6列)、潅水系統2系統を整備した。7月上旬には収穫および出荷を開始する予定だ。

栽培品種は、農研機構が開発した「なつあかり」と、信州大学農学部が開発した「信大BS8-9」の2品種。冬春イチゴに劣らない香りや甘みが特徴で「なつあかり」1.5トン、「信大BS8-9」2.0トンの年間収穫量3.5トンを見込む。

まずは安定栽培のノウハウを習得し、将来的には施設拡張によって事業を拡大していきたい考え。

同社は、「2030年に向けたビジョン」および同ビジョンの実現に向けて「企業価値の向上」、「事業領域の拡大」、「人的資源の活用」の3つを事業戦略の基本方針とする「中期経営計画(2019~2021年度)」を策定、推進しており、「事業領域の拡大」については、不動産事業の強化、海外事業基盤の構築のほか、新規事業への参入を進めることとしている。

同事業を通じて、食料自給率の低下を背景とした国産農産品へのニーズや「地産地消」への取り組みのほか、地域における雇用の創出や地域ブランドの確立などによる「地方創生」に貢献するとともに耕作放棄地の解消など農業分野における課題の解決に努め、持続可能な社会の実現を目指すとしている。

【参照】
●なつあかり
季性:四季成り/育成者:農研機構/登録年:2007年/交配種:サマーベリー×北の輝
イチゴの端境期の7~10月にはケーキ用イチゴが大量に輸入されており、品質の優る国内産のイチゴへの要望が高いことから開発された。果実が大きく、形は円錐形で、やや柔らかい。日持ち性や外観に優れる。草姿がやや立性で、草勢は強く、果数及び収量はやや少ないが、商品果率はやや高い。果皮は赤色で、果実糖度、糖酸比が高く食味に優れるため、夏秋期の生食用としても利用できる。

●信大BS8-9
季性:四季成り/育成者:信州大学、株式会社アグリス/登録年:2011年/交配種:非公表
信州大学農学部大井美和男教授が開発した夏秋イチゴ。国産業務用イチゴのニーズに応えるため開発された。草勢が強く、果実も成り疲れがしにくい。芯止まりや白ろう果などが発生しにくく、病気にも強い。高温期でも高糖度。果心まで赤く、スイーツ用のカットでの活用にも向く。果実は硬く、日持ち性・輸送性に優れる。

奥村組