2020年農業技術10大ニュース発表

2020/12/25

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農林水産省は12月23日、「2020年農業技術10大ニュース」を選定した。この1年間に新聞記事となった民間企業、大学、公的研究機関および国立研究開発法人の農林水産研究成果のうち、内容に優れるとともに社会的関心が高いと考えられる成果10課題を農業技術クラブ(農業関係専門紙・誌など29社加盟)の加盟会員による投票で選定した。

2020年農業技術10大ニュースは以下のとおり。

【TOPIC1】判断の根拠を説明できるAI
-生産者も納得の病害診断に活用-
農研機構は従来のAI技術では困難だった、AIモデルが学習した特徴や学習に基づく判断根拠を可視化する技術を開発。AIによる病害診断において、診断の根拠となる画像の特徴を可視化でき、人間がAIの判断の根拠を得ることができる。これをジャガイモ、トマト、ピーマンの葉画像を使った病害診断に適用したところ病気葉と健康葉をジャガイモで95%以上、トマト、ピーマンで90%以上の高精度で診断することができた。生産者も納得して防除することができるだけでなく、農業分野以外への活用も期待される。
【参照】農研機構・画像の特徴を可視化できる新しいAIを開発

【TOPIC2】手軽で簡単!スマホを使って土壌分析
-個人差のない測定法を開発-
JA全農は、土壌分析用の試験紙「みどりくん」と簡易測色ツール「Pico」、「Pico」専用のスマートフォンアプリを組み合わせた新しい簡易土壌分析法を開発。

農林水産省 2020年農業技術10大ニュース

スマートフォンを用いた新しい土壌分析ツール「スマート みどりくん」を開発、7月から発売している。(出典:JA全農)

これまで目視によって判定していた試験紙の発色程度をスマートフォンなどを利用して客観的に判断することで、誰でも簡単に分析結果に基づいた肥料成分の過不足を考慮した施肥管理が可能となる。
【参照】JA全農・「手軽さ」と「正確さ」を両立 スマートフォンを使った新しい土壌分析ツールを開発
【参照】手軽で正確に土壌分析 スマホを用いた土壌分析ツールを開発

【TOPIC3】赤色LEDでアザミウマ防除
-施設栽培の化学農薬削減に貢献-
大阪府立環境農林水産総合研究所、農研機構、静岡県農林技術研究所、光波は、赤色発光ダイオード(LED)の光を照射することでをアザミウマ類を防除する技術を確立。施設栽培のナス、キュウリ、メロンで防除効果を実証した。化学農薬の使用削減につながる新手法として期待される。
【参照】農研機構・赤色LEDによるアザミウマ類防除マニュアル農林水産省 2020年農業技術10大ニュース

「赤色LEDによるアザミウマ類防除マニュアル」。
(出典:農研機構「赤色LEDによるアザミウマ類防除マニュアル」
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/132807.html)

【TOPIC4】身近な事例で実感!農作業事故事例検索システムを公開

-実効性のある安全対策の実施を強力にサポート-
農研機構は、さまざまな農作業事故事例とその原因、対策をウェブ上で閲覧できるシステムを開発、公開した。個別の事故報告の原因や改善策の詳細な分析により、農作業現場に潜在する危険な箇所や対策などの情報を得ることができる。これまでの注意喚起に留まらない、実効性のある安全対策の検討と実施が可能となる。
【参照】農作業安全情報センター

【TOPIC5】安全に手軽に!田んぼダムで豪雨対策‼
-減収させない湛水の目安と安価な水位管理器具の開発-
農研機構は、豪雨対策として水田が持つ雨水の貯留機能を活用するため、水稲の減収を抑えられる湛水深とその継続期間の目安を明らかにした。同時に安価で手軽に設置できる水位管理器具を開発。農家を中心とした地域一体で取り組む豪雨対策に繋がり、下流の農地や周辺住宅などへの被害軽減効果が期待される。
【参照】豪雨時の洪水被害軽減に貢献する水田の利活用法

【TOPIC6】消石灰の消毒効果を見える化
-今がまき時!待ち受け消毒の徹底をアシスト-
室蘭工業大学は、コア、ティ・イー・シー、宮崎県、北海道白糠町と消石灰の消毒効果を判別する可視化剤を開発。操作は簡単でスプレーするだけ。粒子の形状(粉、粒)は問わない。

農林水産省 2020年農業技術10大ニュース

室蘭工業大学らが開発した消石灰の消毒効果を判別する可視化剤は、消毒効力が可視化されるので、散布の過不足を防ぎ、効果的・効率的な消石灰散布を実施できる。

消石灰の劣化状態を定期的に把握することで、効果的・効率的な散布が可能となり、鳥インフルエンザ、豚熱等の家畜伝染病予防、災害時等の感染症予防の徹底に貢献する。
【参照】北海道天然物質研究コンソーシアム

【TOPIC7】イネの茎伸長において相反する機能を持つ2つの遺伝子を発見
-イネ科作物の草丈制御に活用-
名古屋大学を中心とした共同研究チームは、イネの茎伸長において相反する効果を持つ2つの遺伝子を発見。伸長促進効果をもつACE1遺伝子と、抑制効果をもつDEC1遺伝子による茎伸長の制御メカニズムはイネ科植物に共通しており、本研究成果はイネだけではなく、コムギやオオムギなどのイネ科作物の草丈を人為的に制御する技術への応用が期待される。
【参照】名古屋大学・茎が伸長を開始する仕組みの発見

【TOPIC8】農業用水路がヒートポンプの熱源に!
-流れの中にシート状熱交換器をおくと熱交換効率がアップ-
農研機構は、シート状熱交換器を流水中に入れると、土中や静水中にくらべ効率よく採熱できることを解明した(静水中設置の約2.5倍、土中設置の約15倍)。農業用水路をヒートポンプの熱源として有効利用でき、農業用ハウスの冷暖房で消費するエネルギーの削減やランニングコストの削減が期待される。
【参照】農研機構・シート状熱交換器の流水中設置によりヒートポンプの熱交換効率が大きく向上

【TOPIC9】AIによる温州みかん糖度予測手法を開発
-適切な栽培管理への活用に期待-
農研機構は、膨大なデータを学習したAIと、前年までに蓄積された糖度データと気象データから、温州みかんの当年の糖度を予測する手法を開発。出荷時の糖度を地区単位で7月ごろから高精度に予測できる。適切な栽培管理が可能となり、温州みかんの品質の向上に役立つことが期待される。
【参照】農研機構・AIによる温州みかん糖度予測手法を開発

【TOPIC10】水稲に被害を及ぼすフェーンの発生を3日前に予報
-白未熟粒の発生低減へ-
農研機構は、領域気象モデルを用いた気象予報を基に3日先までの水稲のフェーン被害が予測される場所を1kmの解像度で解析、表示するシステムを開発。水稲が登熟前半の米の肥大期に高温乾燥の強風であるフェーンを浴びると白未熟粒の発生で品質が低下する。このシステムにより、現地では水田の水位を保つなど事前の対策が可能となる。現在、九州地方を対象に農研機構の栽培管理支援システムから情報発信しており、今後、北陸地方への導入も予定されている。
【参照】農研機構・栽培管理支援システムの運用開始

農林水産技術会議・2020年農業技術10大ニュースの選定について
農林水産省