1杯分900円の冷凍スムージーがなぜ大ヒット?

株式会社 泉州屋(大阪府大阪市)

農業ビジネスベジVol.31(2020年秋号)より転載

青果冷凍の最新ビジネスモデル①

2021/04/15

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「GREEN SPOON」は顧客の体調や生活習慣に合った配合のスムージーパックを毎月8~20個届ける定額制サービス。青果の冷凍から商品づくりまで泉州屋がラボでおこなっている。

「もったいない」から始まった

大阪市東部中央卸売市場の青果仲卸会社、株式会社泉州屋は、2017年10月から冷凍事業をはじめた。「きっかけはパートさんたちの『もったいない』の声でした」と話すのは、同社社長の秋山昇氏だ。

「青果、とくに果物は完熟時が一番おいしい。しかし青果商のもとで完熟になった果物は、消費者の手に渡るまで最低1日半はかかるため流通には乗せられません」。同じ箱に入っていても1つ1つ生年月日の違う果物の中から、店頭陳列後に完熟するものを見分け、店頭では完熟を過ぎてしまうと予測される個体は廃棄する。「これが市場の安心安全を支える目利きの力。でもフードロス削減の観点からは、見過ごせなくなっていました」(秋山氏)。

社内消費も焼け石に水だ。廃棄は日々かなりの量にのぼり、打つ手を模索していた同社に、同じ大阪で衛生用品や冷凍システムを手がける株式会社サラヤが声をかけてきた。

解凍後の復元性の高い急速凍結機の話を聞いた秋山氏は、さっそく東部市場内にプレハブハウスを新築。そこにサラヤのアルコールブライン凍結機と冷凍庫、脱気包装機を設置し、洗浄や皮むき、搾汁など、冷凍する果物や野菜を下ごしらえする道具も揃えた。冷凍した果物や野菜を生のままでも利用できるよう、電解水や熱処理機を導入して殺菌工程も加えた。

「目の前にある一番おいしい状態の果物を保存したい」からスタートしたため、真新しい機器を備えたプレハブハウスは「ラボ」と名付けた。サラヤのショールームやラボで、どんな状態のどの果物が冷凍に向いているかの試験を続け、冷凍した果物を手に大阪市内の居酒屋、ホテル、レストランなどを営業にまわった。

「どこも『面白い』と関心を示してはくれますが、厨房の冷凍庫はすでに一杯。『肉や魚ならいいが、安い海外産が主流の冷凍果物は成功しない』と言う人もいて、それなら自社で完成品にしようと2018年11月からフローズンスムージーを始めました」(秋山氏)

〝スムージー〟と名の付いた飲料は多く、価格では大手メーカーに勝てない。あえて200㎖・580円という高価格帯を狙い、「全国の旬が集まる中央卸売市場で製造した、旬の果物と野菜だけのスムージー」と掲げた。商品は実際に市場内のラボで社員が手づくり。するとスポーツジムで扱われるなど、美容や健康への意識の高い人に認知が広がって、ようやく採算ベースに乗るようになった。

(写真左)「GREENSPOON」スムージーのレシピは25種類。コロナ禍の巣ごもりに「手軽・おいしい・健康」というコンセプトが当たり、2020年7月までの累計契約者数は6300名以上という。
(写真右)東部市場内に設置された最初のAラボ。冷凍ビジネスが広がった昨年末から冷凍庫や新ラボを次々と増設していった。

 

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