国産「もち麦」、今がチャンス!

もち性の大麦=「もち麦」が人気だ。大麦が含有するβーグルカンの効果が注目され、欧米では健康食として認知されている。
日本でも官民の研究とプロモーションが成果を上げ需要が急伸。今ではコンビニ大手すべてが「もち麦おにぎり」商品を販売する。
原料の9割を輸入に頼る現状を変えようと尽力する農研機構・次世代作物開発研究センターの柳澤貴司氏が、国産もち麦の現状と可能性を解説する。

農業ビジネスベジVol.27(2019年秋号)より転載

写真・図版提供/農研機構

2020/08/11

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1 エビデンス
もち麦はなぜからだにいいのか?

「βーグルカン」が多い!

第一に、もち麦(もち性の大麦)に限らず大麦全般に含まれる水溶性の食物繊維βーグルカンが、成人病などの予防に効果的だからです。

米や小麦など他の穀物、食物繊維の多い野菜と比べても大麦の水溶性食物繊維は多いのですが、大麦の中でも平均的に、もち性品種はうるち性品種の約1・5倍のβーグルカンを含んでいます。

欧米では00年代、医学論文でデータとともに、大麦のβーグルカンがヒトの血糖値やコレステロール値を低下させることなどが実証されるようになりました。それが大麦を使った食品にヘルスクレーム(機能性表示のようなもの)や強調表示を行う流れに繋がりました。たとえば「一日に○g摂取すると心臓疾患の予防に効果がある」などの表示です。

日本では2013年に「機能性をもつ農林水産物・食品開発プロジェクト」がスタート。4ヵ年・20億円をかけて、初めて日本人を対象に大規模なヒト介入試験が行われました。タマネギ、ニンジン、カンキツなどとともに大麦も対象になった本プロジェクトで、特にインパクトの強い結果が大麦で出たのです。

βーグルカンは大麦の子実の胚乳全体にあるが、とくに中心部分に多い。

日本人の内臓脂肪を減らす!

もち性の大麦品種「キラリモチ」のご飯を試験食に、βーグルカンを含まない変異性の大麦のご飯を対象食として、メタボリック症候群の腹囲を持つ男女100人を50人ずつに分け、1日2食を3ヵ月(12週間)食べ続けてもらいました。試験食のβーグルカン含有量は1食2・2g(一日4g)、対象食はほぼゼロ。試験をする医師にも先入観を持たせない二重盲検(ダブルブラインド)という手法を採用しました。

結果は、試験食・対象食どちらのグループも内臓脂肪面積が減少。対象食でも減ったのは、βーグルカン以外の食物繊維の効果だろうと解釈できます。ただ統計学的に「有意な差」ではなかった。しかし、試験食グループから内臓脂肪面積100㎝以上の30人を抽出して解析すると、統計学的に「有意な差」がありました。

試験食グループの残りの20人は、内臓脂肪ではなく皮下脂肪が多かった。つまりβーグルカンは、内臓脂肪の減少には効くが、皮下脂肪の減少にはあまり効かないのかもしれません。

日本人を対象にした試験で、βーグルカンが内臓脂肪の減少に効果があると科学的に証明されたのは初めて。食べた直後に血糖値が上がりにくい(低GI)ことはわかっていましたが、加えて内臓脂肪を減らす効果もあるとわかったことは、このプロジェクトの大きな成果でした。

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