世界一高価なブドウ「ルビーロマン」その奇跡の誕生と苦難の栽培

ルビーロマンは石川県が生み出した超大粒・赤系良食味品種。
2019年の初セリでは1房・120万円と史上最高値を更新。
昨年の8月上旬、東京のデパートでは一房2万円、
一粒1000円(税抜)で売られていた。
だが栽培は〝茨の道〟。真価が問われるのは、これからだ。

農業ビジネスベジVol.28(2020年冬号)より転載

写真/イマデラ ガク

2020/08/03

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9月上旬、ルビーロマンは出荷の最後期だが、着色期の7月下旬〜8月中旬に高温が続き、色付きが遅れている。着色を待つうちに裂果しかねず、ここが現在最大のハードルだ。

ルビー色に輝く奇跡の1株

石川県金沢市から北のかほく市へ至る沿岸約10㎞には、日本で3番目に大きな内灘砂丘が横たわる。この砂地を活かして栽培されているのが、水はけの良い土壌を好むブドウだ。ただし、年間降水量が全国トップクラスの石川県では雨よけが必須で、ハウスで栽培する。大産地である山梨県産、長野県産などの露地ブドウとぶつからないよう、ハウスを加温し、高単価で売れる夏前に〝はしり〟のデラウエアを出荷する産地のひとつである。

ところが、デラウエアは巨峰のような大粒品種の人気に押されて年々価格を下げていった。石川県でも巨峰はじめいくつかの大粒品種を導入したが、やはり大粒品種では後発だ。砂丘地のブドウ農家たちから、石川県に合ったオリジナルな大粒ブドウ育成への期待が高まっていた。

石川県農林総合研究センターでは「次世代の大粒ブドウ」を開発すべく、1995年に大粒の黒系品種「藤稔」を親に交配し、得られた種400粒を播種した。国の育種では数千粒を播種するが、県の試験場では資金も人手も限られる。2008年から次世代ブドウを担当した同センターの中野眞一氏は、当時のことをこう話す。

「交雑したなかから40個体を定植。赤系品種は4個体だけだったそうです。ところが、そのひとつが奇跡のような個体だった。超大粒で見事なルビー色の果皮。果汁が多く甘くておいしい。皮が剥きやすい。赤系の大粒ブドウで看板となる品種がまだ存在しないこともポイントでした。黒系の巨峰の人気が確立したなか、次世代品種として黒系ではなく、この赤系に賭けてみようと」

左)石川県農林総合研究センター 中央普及支援センター主幹の中野眞一氏。2005年よりスタートしたルビーロマンのプロジェクトで奮闘した。
右)石川県農林総合研究センター 砂丘地農業研究センターの研究主幹、井須博史氏。ルビーロマンの商品率向上の研究に日々とり組む。

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