売上を伸ばす「からだにいい」の伝え方

現在60品目以上の野菜・果物が届出されている「機能性表示食品」など、いまや〝エビデンスのある健康効果アピール〟は売れる食の鉄則。では食品表示を青果の売上につなげるには、具体的にどうすればいいのか? 日本で(世界で)初となる野菜の機能性表示食品「大豆イソフラボン子大豆もやし」を手がけた中田光彦氏が解説する。

農業ビジネスベジVol.27(2019年秋号)より転載

2020/08/20

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中田光彦(なかだ・みつひこ) 野菜で健康研究所株式会社 代表取締役 PROFILE/1963年石川県生まれ。名古屋大学工学部卒。㈱リクルート、オリザ油化㈱を経て08年㈱サラダコスモ入社。研究開発部長を経て19年3月、野菜で健康研究所㈱設立。

野菜を食べない日本人

野菜や果物がヒトの体に大変良いものであって、健康を維持するために野菜を食べる必要があると認識している人が多いことは、どんな調査を見ても明らかだ。

しかし、現実は異なる。厚労省、農水省、文科省が中心となって「1日350gの野菜を食べましょう」と食育活動を進めているが、平均270g、20代は230g程度と目標値と大幅に差があり、世界の国々と比較しても少ない(図1A・B)。

 

体に良いとわかっているのに、なぜこれほど摂取量が少ないのか?

多くの理由が重なり合っての結果だろうが、その一つとして「野菜や果物(以後、野菜と表記する)の良さを本当に伝えられていないこと」があげられるのではないか。

家電でも車でも、一般の消費行動においてはその性能や機能についての表示を見て比較し、価格が高い理由も理解して購入するのが普通だ。加工品やサプリメントについても、その味・安全性・栄養成分・健康効果などに関して、なにがしかの数値や表示をもとに消費者は選択している。

だが、野菜にはそのような表示がほとんどない。野菜にどんな栄養が含まれ、どのように体に良くて、なぜ体に必要か。それをわかって購入したり食べたりしている消費者がどのくらいいるだろうか。多くの消費者は、野菜の価値を外観と価格だけで判断しているのが現状なのだ。

野菜の表示は、これまで名称と産地さえ表示すれば販売できるというルールだったので、中身のわかる情報は伝えられてこなかった。

本稿では、野菜の良さ、とくに栄養や機能面の情報を積極的に伝えることによって、消費者の購入につながり、売上効果を上げている事例を中心に、野菜の良さを伝える方法を改めて考え、これからの野菜ビジネスについて提案する。

食品表示法改正で、生鮮品が保健機能食品の対象に

2015年4月1日、食品表示法の大幅な変更と同時に、食品に健康機能性を表記できる保健機能食品に新たに「機能性表示食品」が加えられた。同時にビタミンやミネラルなどの機能性を表示する制度として、すでに存在していた「栄養機能食品」の対象に生鮮食品も加わることとなった。

この流れの背景には、1991年にスタートした「特定保健用食品」(トクホ)の制度だけでは日本人の健康改善に寄与率が低く、新たな政策が必要となったことがある。新制度の狙いは、中小企業・小規模事業者でも定められたルールに従って届出を行なえば、サプリメントや加工食品だけではなく、生鮮品にも機能性の表示を可能にしたことで、世界で初めての制度として安倍内閣の肝いりでスタートしている(図2)。

消費者に日常の食事で健康を維持するための商品選択に資する情報提供を可能としたことと、停滞している農業政策やTPP対策となるような戦略的な意味合いが含まれていることは、農業に携わる者として充分意識する必要がある。

この制度は
・あくまでも生産者の責任としての届出制であること。
・製品に含まれ、表示する機能性を発揮する成分(機能性関与成分)の含有量を担保すること。
・トクホと異なり、多額の費用を必要とする製品での臨床試験ではなく、既存のヒト臨床試験の文献を調査してまとめる研究レビュー方式を、エビデンス(健康効果の証拠)とできること。
・製品の安全性や生産管理体制、消費者からの情報受信体制などを明示すること。

などを特徴とし、中小企業でもできることが売りの制度となっている。

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