連作障害とは無縁!丹念な土づくりで 年8作を 30 年続けるチンゲンサイ農家

きめては微生物のバランス

連作障害が出やすいと言われるチンゲンサイを、とある技術を使うことで、年8作を30年も続けている生産者が新潟県にいる。ここでは、そんな篤農家である長谷川農園の取り組みを紹介しよう。

農Bizムック「持続的農業の土づくり」より転載

文/川島礼次郎 写真/岩田伸久

2021/12/06

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連作障害は回避できる!

連作障害に頭を悩ませている農業生産者は少なくないはずだ。労働効率や設備や資材への投資効率を高めるには、同じ作物を作り続けたい。しかし連作を続けると、連作障害が発生しやすい。連作障害の原因は、特定の病原菌が根から侵入して病気を引き起こす土壌障害、特定の栄養素が不足するために起こる生理障害、それに線虫害などが知られている。その対策として輪作を採用することで予防できるが、それでは効率が上がらない。土壌消毒を行い、施肥で対応しようとしても、決定的な解決策とはならない場合が少なくない。

新潟県新潟市の農業生産者、長谷川農園の長谷川正義さんも、かつては、そんな連作障害に悩まされていた一人だった。それが今では、連作障害が出やすいチンゲンサイを年8作、30年以上も続けている。そのチンゲンサイは、みずみずしくてエグ味がないと好評であるという。一体どんな対策を行ったのだろうか? 長谷川さんが教えてくれた。

「実は私も、かつては連作障害に悩まされていたんです。もう30年以上も前のことになります。うちは当地で長く続いている農家ですが、53aのこのハウスでチンゲンサイを栽培しているほかに、コメを少々栽培しています。かつてはネギやダイコン、ホウレンソウなどの野菜類を色々と作っていまして、そのなかの一つがチンゲンサイでした。ところが、連作障害に苦しみまして……何をやっても上手く行かなかった……(苦笑)」と話す。

そもそもネギやチンゲンサイを始めたのは、家庭の事情だったそうだ。お子さんが生まれ、成長して行く過程で、奥様を農地に縛り付けたくなかったという。そこで、年間を通じて一つの作物に絞って栽培すれば労働時間を管理しやすくなると考えた。しかし同じ作物を作り続ければ連作障害が出る。出口が見えない状況だった。

そこで始めたのが「土づくり」だ。最初は鶏ふんを入れたり、稲わら堆肥を作ってみたりと、思いつく限りのことに挑戦したそうだが、なかなか良い結果には繋がらなかった。稲わら堆肥は即効性があり、入れた後、しばらくは有効だが、それでも障害を食い止めることはできなかったという。

「そんな頃に出会ったのがブイエス科工でした。バーミキュライトに微生物を培養吸着させた土壌改良剤のメーカーと聞きました。熱心な営業マンが居ましてね……二人でシャベルを持って、一緒にもみがら堆肥作りをしたのです。コレが凄かった! 土の物理性と生物性とを改善して良好な状態に保ってくれるため、使い始めてから30年、土壌消毒をすることなく、連作障害とは無縁のまま、チンゲンサイの栽培ができるようになったんです」

「生物性は『VS34』が、物理性はもみがらが、それぞれ改善してくれる」と長谷川さんは語る。手で触れてみると、しっとりと湿り気はあるが、思いのほか軽かった。ほぼ臭いがないので作業者としても扱いやすいという。

もみがら堆肥で土づくり

化成肥料全盛時代から土づくりに着目した長谷川さんが、ようやく辿りついたのがもみがら堆肥だ。その作り方(2t分)は以下である。

・材料は、もみがら1000㎏、稲わら少々、油カス100㎏、米ぬか100㎏、「VS34」50㎏
・建築用合板等で3.6m×1.8mの囲いを作る
・囲いの中で、もみがらに水を掛けながら十分に踏み「VS34」などの副資材と混合する
・水分は約60%とする(もみがらを握って塊が二つに割れるくらいが目安)
・積み込み後は少しすき間をあけて、ビニールで覆い、雨水等の進入を防ぐ
・積み込み後、15〜20日で切り返しを行い、乾いている部分に水を掛ける
・切り返しが多いほど良い堆肥ができる。

ここで使われる「VS34」というのは、ブイエス科工が販売している土壌改良剤だ。土壌改良効果の高い国産バーミキュライトに有効微生物を吸着した製品である。元肥との同時施用や残渣処理時に施用したり、長谷川さんが行っているもみがら堆肥のように、堆肥づくりの資材にも利用できる。その効果は、長年土づくりにこだわってきた長谷川さんも太鼓判を押すほどだ。

ブイエス科工がきたころは、色々な方法を試していたときでした。ですので『試しに使ってみるけど、駄目なら買わないよ』と事前に伝えましたが、それでも一緒にもみがら堆肥づくりをしてくれた。そうしたら良い結果が出た。一発で惚れ込んでしまいました」

実感しているのは「VS34」を使ったもみがら堆肥は、土壌の物理性と生物性を良好に保てる、ということ。物理性については、主には、もみがらの効果だと長谷川さんは考えている。もみがらは、二つに割れると二枚貝のような構造になる。

これが堆肥化して行く過程で表と裏とになって分解されるのだが、お皿のように水や養分、微生物を蓄えるものと、反対向きになってそれらを流すものとが、自然と入り混じってくれる。だから土壌水分を適度に保つことができる。生物性については『VS34』の効果だ。母材として使われているバーミキュライトは大きな空隙を有した鱗片状の粘土鉱物で、そこに有用微生物が沢山住み着いている。これが土壌の微生物相を良好な状態に保つ効果を持つ。

「もみがら堆肥を使うようになってからというもの、連作障害とは無縁になりました。また、土が良いから作物の生育は良好だし、できた作物も元気になります。それは考えていなかった効果です。例えば天候不順で他所で不作になっても、うちでは何一つ変わることなく年中採れ続けます。また、うちのチンゲンサイは味も自慢なんですよ。みずみずしくてエグ味がない。そして元気に育ったから収穫後も日持ちがする。これらは販売するうえで大きなメリットになります。だから売り先に困ったことなど一度もありません。作付け前に全量買い取りしたい、と提案されるくらいです」と自信に満ち溢れた様子で教えてくれた。

長谷川農園のチンゲンサイは、とにかく元気! そして大きい。他所が天候不良で不作になっても、長谷川農園では採れ続けるという。味も評判で、みずみずしくてチンゲンサイに特有のエグ味がない。そのうえ日持ちがする。売り先に困らない、というのも納得だ。

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