AI病虫害画像診断システムをWAGRIで提供開始

2021/03/19

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農研機構は法政大学、ノーザンシステムサービスと共同で農業データ連携基盤(WAGRI)を通じ、農業情報サービス事業者向けのAI病虫害画像診断システムの提供を開始する。

3月15日からの第一弾として、トマト・キュウリ・イチゴ・ナスの4種類の野菜と果物を対象とした葉表病害判別器を公開した。まずは4作物の病害葉表判別器の提供からスタートし、2021年度中に果樹や花キも含め10品目を追加する予定だ。

農作物の病害虫の形態や病徴は似通っているものが多いため、AI画像判別器を十分な診断精度が出せるまでに学習させるには、多くの専門家が多大な労力と時間をかけて正解ラベル付き画像(病虫害の正確な診断がついた画像)を大量に集める必要がある。

今回、農研機構と都道府県公設試験場の専門家がそれぞれの専門分野の病害・虫害画像を大量に収集。この画像を使い機械学習に精通した法政大学、ノーザンシステムサービスとの共同研究で、実運用精度の高いAI病虫害画像判別器を作ることに成功した。

農研機構 法政大学 ノーザンシステムサービス AI病虫害画像診断システム WAGRI

病害虫防除に役立ちながら成長するAI病虫害診断
WAGRIから公開されるシステムは、一般ユーザーから診断のために送信される画像を蓄積して活用し、継続的にAIを改良することで画像判別の精度が向上する。現在実現できる精度の中で病害虫防除に役立ちながら、継続して成長するAI病虫害診断システムを実現する。今回の4作物の病害葉表判別器の提供からスタートし、徐々に対象作物を拡大していく予定。
(出典:農研機構)

第一弾として提供される病害診断システム(病害葉表判別器:開発・法政大学)の対象病害は、トマトが9病害、イチゴが3病害、キュウリが8病害、ナスが6病害。
【診断できる病害】
トマト:うどんこ病、灰色かび病、すすかび病、葉かび病、疫病、褐色輪紋病、青枯れ病、かいよう病、黄化葉巻病
イチゴ:うどんこ病、炭疽病、萎黄病
キュウリ:うどんこ病、べと病、褐班病、つる枯病、モザイク病、緑班モザイク病、黄化えそ病、退緑黄化病
ナス:うどんこ病、灰色かび病、すすかび病、青枯れ病、褐色円星病、半身萎凋病

いずれも葉の表に発生した病害の画像を診断するもので、判定制度は72.6%~89.2%。この精度は、学習に使った画像の撮影場所とは全く異なる地域で撮影した画像を使い検証したもので、実運用が可能なレベルとなっている。

4月から公開予定の虫害判別器(開発:ノーザンシステムサービス)では、同じくトマト・キュウリ・イチゴ・ナスの4作物の葉表、葉裏を対象とした虫害で、対象虫害は、トマトが3虫害、イチゴが4虫害、キュウリが4虫害、ナスが7虫害。
【診断できる虫害】
トマト:コナジラミ類、トマトサビダニ、ワタアブラムシ
イチゴ:コナジラミ類、ハダニ類、ワタアブラムシ、ハスモンヨトウ
キュウリ:アザミウマ類、コナジラミ類、ハダニ類、ワタアブラムシ
ナス:アザミウマ類、ハダニ類、チャノホコリダニ、アブラムシ類、ハスモンヨトウ、ハモグリバエ類、ニジュウヤホシテントウ

判定制度は82.1%~85.4%を達成しており、4月からの公開を予定している。

同システムの活用を検討する民間企業を対象に、農家などへの診断サービスを実現するアプリケーションソフト(デモアプリ)の試し利用を無償で提供する。さらに、一般ユーザーから送られた画像を蓄積し活用することで、継続的な診断精度の向上を目指す。

将来的には、高齢化による熟練者の減少や経験の浅い新規就農者・新規参入者への対応、未発生地域での病害虫対策として、現場で迅速に診断できるサービスへの活用が期待できるとしている。

農研機構プレスリリース
農研機構