酪農生産のDX化を推進・実証 自社牧場で生産開始 ファームノートHD

2020/09/08

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酪農・畜産向けIoTソリューションを提供するファームノートホールディングスの子会社であるファームノートデーリィプラットフォームは、北海道標津郡中標津町に自社牧場(授乳牛110頭、全飼養頭数170頭)を立ち上げ、酪農生産を開始した。

ファームノート 自社牧場

(左)自社牧場外観。(右)自社牧場内観。

自社牧場は、DX推進のためにIoT・AIソリューションの最適な活用方法と、牛舎設計から搾乳等の自動化技術・牛の遺伝改良技術・疾病予防技術・繁殖改善など酪農生産技術を高次に両立させパッケージングした酪農生産のDX化を実証する第一号牛舎となる。

最近では小・中規模生産者の離農は著しく、過去10年間で戸数が30%減と酪農生産の基盤を揺るがしかねない状況。その原因として、長時間労働、生産性、設備投資の重さなどが挙げられており、IoTやAIの導入など高効率な酪農生産の実現が期待されている。

自社牧場には、自社グループの製品群に加え、最新鋭の搾乳ロボットや糞尿処理機械を導入。牛舎のレイアウトには海外の設計思想を採り入れ、働く「人」と「牛」に配慮した、効率的で生産性の高い牧場を目指す。今後自社牧場で培われた生産技術を広く酪農生産者に提供していく予定だ。

【新牛舎の特徴】
1. 従事者一人当たり、3倍の生産性を実現

これまで日本の牛舎では人と牛の最適な生産環境が設計レベルから追求されていなかったが、4dBarn社(フィンランド)の設計思想を取り入れ、自動搾乳ロボットを中心とした働く「人」にも「牛」にも配慮された生産性の高い牛舎を実現した。

ファームノート 自社牧場

人と牛の動線を最適化するゲート。

具体的には搾乳・繁殖・乾乳・分娩・育成・治療等の作業が一つの牛舎内ですべて完結するよう導線が設計されており、一般的な牛舎の4倍程度のソーティングゲートを設置・活用することで、作業者が1人でも牛の移動が短時間でスムーズに行える。その結果、牛舎内の総労働時間として1日あたり8時間程度、同規模の牧場の約1/3の時間で作業が可能になる見通し。

2. IoT・AI技術の活用により高度なオペレーションを実現

ファームノート 自社牧場

Farmnote Colorを装着した牛。

新牛舎ではFarmnote Cloud、Farmnote Colorならびに自動搾乳ロボットを導入し、集積された生産データを分析。牧場業務オペレーションの高効率化を進めている。

ファームノート 自社牧場

デラバル社製 搾乳ロボット。

Farmnote Cloudにより生産データを可視化、全ての従業員に分析結果が共有され、Farmnote Colorによって誰でも発情や疾病兆候といった牛の状態変化を発見できる。さらに搾乳ロボットによる搾乳作業の自動化や整備されたオペレーションマニュアルによって従業員の習熟度にかかわらず業務の再現性が向上し、業務の最適化と従業員教育の効率化につながる。

また、生産データの共有に加えて、クラウドカメラによる牛舎状況のリアルタイムな観察と、ボディコンディションスコアカメラ(※1)による牛の栄養状態の自動分析によって、牧場管理者が遠隔から牧場の状況を適切に把握して従業員に指示を出したり、獣医師など専門家が遠隔から生産状況を確認して適切なアドバイスをすることも可能になった。

3. 牛舎のリノベーションにより建築コストを半減

従来、酪農生産コストの約20%を占める減価償却費は主に牛舎建築コストが占めている。新牛舎では既存牛舎の改築というアプローチによって、同規模の牛舎を新築した場合に比べ約半分のコストで牛舎を建築した。リノベーションというアプローチは、酪農経営の競争力強化に繋げることができると考えている。

4. 環境負荷の低減

新牛舎では、固液分離機により糞尿を処理し、分離した固形分を敷料として利用することで、排出される家排泄物を30%程度削減する。牧場から排泄される糞尿が減少することで、家畜排泄物による悪臭や水質汚染といった環境負荷の軽減と、敷料コストの圧縮という経済性を両立している。

5. 動物の快適性に配慮

分娩前後の牛に配慮した牛舎設計、自動開閉カーテン(菱中産業のGREEN LIGHTブランドの「新型シャッター&カーテンシステム」を導入)による暑熱対策、自動フットバスの設置による蹄病予防、常駐獣医師による疾病予防に重点をおいた牛群管理マニュアルの作成など、アニマルウェルフェアに配慮した飼養管理に取り組んでいる。

ファームノート 自社牧場今後は実証農場において、酪農生産の要である牛舎・人・牛それぞれの視点でデータ化と自動化を進め、酪農生産のDXを推進していく。生産者戸数の減少が著しい小・中規模生産者の生産性向上への後押し、経験の有無を問わず誰でも酪農経営が可能な世界を目指す。

また、10月以降に視察の受け入れを開始する。視察申し込みについては、ファームノートWebサイトまたはファームノート公式SNSにて確認のこと。

(注)
※1 ボディコンディションスコアカメラ:牛体への脂肪蓄積の程度から、牛の栄養状態を評価する手法。自社開発のボディコンディションスコアカメラによって牛体の画像から栄養状態を自動的に評価する。

ファームノートホールディングス