農薬散布量が激減!作業時間を最大90%オフ

「2025年までに農業の担い手のほぼ全てがDATAを活用した農業を実践する」という。
具体的にどうなるのか? 現場を訪ねた。

AIで画像を解析し、ドローンで農薬を散布する黒大豆産地
兵庫県丹波篠山市 農事組合法人「丹波ささやま おただ」と地域の若手農業者たち

農業ビジネスベジVol.29(2020年春号)より転載

写真/井上健志(Photo Ape) 写真提供/オプティム

2020/08/07

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小売価格は特別栽培「スマート黒枝豆」200g・770円、特栽でないものは598円(いずれも税抜)。

 

ドローンとAIを無償提供

国の指針によると、2022年までに中山間地農業や露地野菜にも使えるスマート農業技術を開発し、いずれは農家が導入できる価格で提供するという。

この「スマート農業総合推進対策事業」には昨年末、72億円の補正予算が組まれ、今年度も15億円の予算が投じられている。

しかし実際、農業経営や農作業をスマート化するだけでは、生産者の減少や収益率の悪化を改善することは難しい。もっと農食市場全体で収益を高めるビジネスモデルが不可欠。そうした考えで立ち上がったのが株式会社オプティムの「スマートアグリフードプロジェクト」だ。

同社は省力化と減農薬につながる新技術として、ドローンが撮影した畑の画像をAIで解析し、病害虫が検知された箇所だけにドローンで農薬を散布する世界初の「ピンポイント農薬散布テクノロジー」を2017年に開発。

同時にスマート農業を普及させるため「スマート農業アライアンス」を立ち上げた。生産者、企業、自治体、大学などスマート農業に関心のある個人や団体が誰でも参加でき、生産者はスマートアグリフードプロジェクトへのエントリーが可能だ。このプロジェクトでは、生産者はオプティム保有のドローンと、オプティムが開発費をかけたAIの解析システムを無償で利用できる。

米とエダマメに付加価値つける

なぜ無償利用できるのか?

理由は「レベニューシェア」という仕組みにある。オプティムはドローンやAIを活用して生産した農産物を農家から生産者価格で買い取り、最先端技術で減農薬を実現した〈スマートアグリフード〉として販売する。その収益からドローンやシステムにかかる経費を引き、残りを農家とオプティムで分け合う。これがレベニュー(収益)シェア(分け合う)の概念だ。

「スマートアグリフードプロジェクトは生産者にとってスマート農業の入口。デバイスを無償で提供することで、生産者には投資リスクなく、スマート農業の土俵に上がってもらえます。栽培の知見を持たないIT企業にとっては生産者と出会うきっかけで、互いの信頼関係を育むチャンスにもなる」と、オプティム農業事業部の大澤 淳氏が言う。

現在、レベニューシェアで実績があるのは米とエダマメ。米はドローンで散布できる登録農薬が多く、エダマメは米と共にブランド化がしやすい。

「直販することで市場流通より経費は省けますが、物流費などは同じ。レベニューシェアの収益を出すには〝攻め〟の商品開発が不可欠。〈スマートアグリフード〉という新世代の商品にすることで、付加価値分の利益を生み出せると考えました」(大澤氏)

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