環境制御で収量倍増!時間的余裕もゲット!

本当に役立つスマート農業とは? 内野農園(埼玉県本庄市)の内野貴人氏は「キュウリの声はデータが教えてくれた」と言う。

農業ビジネスベジVol.29(2020年春号)より転載

写真/合田昌史

2020/08/03

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雪で潰れてハウスが半分に

埼玉県北部、群馬との県境に接する本庄市の内野農園は、昭和初期から続く家族経営の農家だ。

3代目の内野貴人氏は、父の病気をきっかけに2003年に就農。2017年、33aのキュウリのハウスに統合環境制御システムを導入した。

キュウリは地元の特産品。本庄市の秋夏キュウリの出荷量は全国市町村で7位、冬春キュウリは11位(2018年度)だ。内野農園も父の代からキュウリがメインで、昨年度の出荷量は約100トンにのぼる。

内野氏が環境制御に関心を持ったきっかけは、2014年2月に関東・甲信越を襲った「平成26年度豪雪」だった。

「当時、約50aあったハウスの半分が倒壊したんです。すぐに再建もできなくて、当面は半分の面積でしのぐことに。だから、とにかく収量を上げられる方法を必死で調べました」

やがて、ハウス内のCO₂濃度が収量に影響するという情報を知った。試しに家庭用の測定器を購入してハウス内のCO₂を測定してみると、驚くべきことがわかった。日中の光合成が活発におこなわれる時間に、CO₂濃度が200ppm以下まで低下していたのだ。

「外気のCO₂濃度は400ppmくらいなので、それより低いんです。うちのキュウリハウス内は日中のCO₂が足りていないのだと初めて気づいた」

光合成には光、水、炭酸ガス(CO₂)の3要素が不可欠という知識はあったが、数値を測ったことはなかったのだ。しかし農業用の炭酸ガス発生剤を試したが、測定器の数値に変化はない。ハウスに設置するCO₂発生機は数十万円と値が張るため、効果がわからないうちに導入するのはリスクが高いと躊躇した。

環境制御で収量倍増

3~7月までが春作の出荷シーズン。本庄市では花殻を付けたまま出荷する『花付ききゅうり』が人気だ。

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