ドローンなどでジャンボタニシ対策の実証実験

2021/09/08

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スマート農業 スクミリンゴガイ防除 ドローン TEAD 圃場監視システム

ドローンでスクミリンゴガイ防除の粒状の防除剤を広域に散布。

ものづくり企業の育成や企業の新たな事業分野進出の支援を目的とした「かわさき新産業創造センター(KBIC)」に入居するTEADは、神奈川県伊勢原市の圃場において、「粒剤散布ドローン:TA408」を活用した水田に繁殖するスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の防除作業および、「リアルタイム圃場監視システム」による経過観察実験を実施した。
同実験は、神奈川県の「ドローン前提社会の実現に向けたモデル事業」において、「スクミリンゴガイ被害対策ドローン粒剤散布実験と防除散布効果の経過観察」をテーマに計画。2021年6月~7月に神奈川県農業技術センターの助言のもと実施手法の検討を重ね、昨シーズン大きな被害が発生した県内圃場地で、TEADが主体となり実験を実施した。

スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、南米原産の外来種で、1980年代に食用目的で台湾から輸入され、水田周辺で養殖が始められた。その後、農業用水路や水田で野生化した。雑食性で主に植物質を食べる。田植え直後の柔らかい稲を好んで食すことから、環境省の要注意外来生物にも指定されている。

寒さに弱く、寒冷地では生息できないため、冬の時期になるとそのほとんどが死滅していると考えられてきた。しかし、近年は温暖化の影響もあり、成長した個体が越冬してしまうケースが急増。その生息域は、沖縄から関東全域まで広がっている。

■スクミリンゴガイ対策の実験内容

同実験では、粒剤散布ドローンの「TA408」を利用した広域(エリア)防除剤散布、圃場のリアルタイム監視による浅水管理、被害の早期発見/防除を行い、総合的なスクミリンゴガイ対策を実施した。

●ドローンで広域に防除剤を散布

スマート農業 スクミリンゴガイ防除 ドローン TEAD 圃場監視システム

農業用ドローンに防除剤を入れる様子。

スクミリンゴガイは、圃場へと移動して侵入してくるため、対策を広域で行う必要がある。同実験は、隣接する圃場にて構成される1つのエリア(約2ha)に対して行い、広域散布の有用性を検証することを目的として行われた。また、手作業での粒剤散布は散布装置を背負いながら圃場内を歩き回る必要があり大変な重労働であるため、同実験ではドローンで散布。省力化と作業時間の短縮を実現した。

●圃場のリアルタイム監視による浅水管理

スマート農業 スクミリンゴガイ防除 ドローン TEAD 圃場監視システム

実験に使用されたリアルタイム圃場監視システム。

防除剤散布により、圃場内のスクミリンゴガイの多くを死滅させることができる。しかし水路などからも侵入してくるため、目を離した数日の間に甚大な被害を受けることも少なくないという。圃場内のスクミリンゴガイの移動を制限するには、浅水管理が重要なため、粒剤散布後の圃場にインターネットを介して圃場の状況を正確に把握することができる「圃場監視システム(仮称)」を設置。

同システムから得た映像情報により、稲の生育状況や水位などを確認できる。現地へ行き目視で確認していた内容を、自宅など遠隔で行うことが可能になる。また、複数箇所を同一のスマホ用アプリで映像監視することや、権限が付与された複数人がシステムにアクセスすることも可能。太陽光発電により電源を得るため、電源確保が課題であった農地にも設置することができる。

こうした対策により、今シーズンはスクミリンゴガイによる被害を最小限に抑えることに成功したという。

また、圃場のリアルタイム映像からは、スクミリンゴガイ対策以外の情報も得られ、多様な状況に合わせて同システムを応用するための課題を抽出。日々保存した定点映像からは、作物の発育状況を時系列で確認することができ、各種対策と効果の検証ができたことも有益な点だったという。

同社は引き続き先端技術を駆使し、スクミリンゴガイの被害を広げないための対策に取り組んでいくとしている。

TEAD
【参照】農林水産省・スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について