千葉でナシ栽培のスマート農業化に向けた実証事業

2021/09/10

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NTTデータ経営研究所と千葉県が代表機関を務めるコンソーシアム「千葉県ナシ栽培スマ農コンソ」は、千葉県市川市と成田市のナシ農園をフィールドに、ロボットやAI、ICTを活用したスマート農業技術の体系化に向けた実証事業を始めた。

同実証事業では、労働負荷の軽減や気候変動などへの対応のため、(1)ヒトを自動で追従する運搬ロボット作業車(2)圃場ごとの気象データに基づく病害発生予測と農薬散布適正化ナビゲーション、(3)ナシ園の棚下から画像を収集し、AIが生育解析を行うシステムについての実証する。同事業は農林水産省事業「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」を活用している。
千葉県 NTTデータ経営研究所 ナシ ナシ栽培のスマート農業化 スマート農業■実証テーマと期待される効果

千葉県市川市および成田市に圃場を持つヤマニ果樹農園で、ロボットやAI、ICTを活用したスマート農業技術の体系化に向けた実証を行う。

●ヒト自動追従運搬ロボット作業者の開発・実証

取り組みの1つ目は、ヒトを自動で追従する運搬ロボット作業車の開発および実証。自動追従ロボット作業車を導入して、収穫や剪定枝の回収・結束のほか、除草剤散布モジュールを搭載して汎用利用する。また、作業者が装着したウェアラブル端末の心拍変化などから軽労化の効果を検証する。

これにより、人力で動かす収穫台車を電動のロボット作業車に代替し、汎用利用することで大幅な省力化を実現する。

●圃場ごとの気象データに基づく病害発生予測と農薬散布適正化ナビゲーション

千葉県 NTTデータ経営研究所 ナシ ナシ栽培のスマート農業化 スマート農業 千葉県ナシ栽培スマ農コンソ2つ目の取り組は、圃場ごとの気象データに基づく病害発生予測と、農薬散布適正化ナビゲーションだ。アメダスなどでは取得できない詳細な微気象データを収集するセンサネットワークを構築して、データを自動で栽培支援用スマホアプリ「梨なび」※に反映させる。さらに、同アプリによって黒星病の感染危険度をリアルタイムで予測し、農薬散布による防除適期をナビゲーションする仕組みの実用化を目指す。
※スマホアプリ「梨なび」:千葉県とNTTデータ経営研究らが開発したWebアプリ。ナシ園で測定した気象情報等を活用し、ナシの病気発生を高精度に予測するもので、スマートフォンから手軽に利用できるため、生産者が適切な時期を逃さずに農薬を散布できる。

実用化すれば、圃場ごとの微気象データが自動で収集され、アプリでわかりやすく把握できるとともに、各圃場に合わせた細やかな黒星病等の発生予測と、防除計画の立案が簡単になり、使用する農薬の種類の削減に貢献する。

●ナシの棚下から自動で画像を収集してAIが生育解析を行うシステム

3つ目の取り組が、ナシの棚下から自動で画像を収集してAIが生育解析を行うシステムの検証だ。ロボット作業車に搭載したカメラで棚下からの生育画像を撮影し、AIで解析。葉の茂り方などを分析することで、ナシの生育診断に活用する。

これにより、従来は生産者が感覚的に把握していた生育状況を、より客観的なデータとして把握できるようになる。また、微気象データを活用した黒星病感染危険度情報や、棚下画像のAI生育解析結果をクラウド上で共有し、リモートで普及員から指導を受けられるほか、生産者同士の情報共有を可能とする。

千葉県はニホンナシの産出額、栽培面積ともに全国1位。二ホンナシは海外からの需要も高まっているため、生産量や品質の向上に期待が寄せられている。一方で、農業全体の課題である高齢化・労働力不足により、その生産量は減少傾向にあるのが現状だ。また、気候変動の影響による生育ステージのばらつきにより、作業適期の判断が困難になっており、生産量や品質に影響が生じている。

具体的な課題としては、夏季に行う収穫作業は収穫台車を人力で押しながら果実を摘むため、重労働になっていること。また、病害虫の薬剤防除について、気候変動により適期実施するタイミングの判断が難しくなっている上、開花の時期も年々早まっていることから、従来通りの生育予測では農繁期の雇用調整や出荷予測も困難になっている。

そこで、同コンソーシアムは、海外からのニーズにも合った高品質のナシを効率よく生産するため、ロボット、AI、ICTなどの先端技術を活用したデータ駆動型のスマート農業システム構築を目指し実証事業の取り組みを開始した。

NTTデータ経営研究所ニュースリリース